屋外業務の熱中症対策に「OS-1と水を交互に飲む」は有効か

生活環境

はじめに

夏の屋外での警備業務や駐車場の誘導業務などでは、大量の汗をかく一方で、必ずしもスポーツのような高強度運動をしているわけではありません。
(屋外での建築業務や土木作業などは高強度運動に準ずる可能性があります。この場合は、作業時間にもよりますが、高強度のスポーツと同様、スポーツドリンクの利用を積極的に考えて良いと思います。)

そのため、水分補給として一般的なスポーツドリンクを大量に飲むと、糖質の摂取量が多くなりすぎることがあります。

一方、OS-1などの経口補水液は、スポーツドリンクより糖質が少なく、ナトリウム濃度(塩分)が高めです。

そこで考えられるのが、

「OS-1と水を1対1程度の割合で摂取する」

という方法です。

結論から言えば、この考え方は成分設計としてはかなり合理的です。

ただし、OS-1を水で薄めて経口補水液として使用するのではなく、屋外作業中の予防的な水分・塩分補給として、水とOS-1を別々に用意して交互に飲む方が実用的です。

OS-1と水を1対1にするとどうなるか

OS-1のペットボトル製品には、100mLあたり次の成分が含まれています。

・食塩相当量:0.292g
・炭水化物:2.5g
・ブドウ糖:1.8g
・ナトリウム:50mEq/L
・エネルギー:10kcal

これを水と1対1の割合にすると、平均的な濃度は次のようになります。

成分OS-1原液OS-1と水を1対1
食塩相当量0.292g/100mL0.146g/100mL
炭水化物2.5g/100mL1.25g/100mL
ブドウ糖1.8g/100mL0.9g/100mL
ナトリウム濃度50mEq/L25mEq/L
エネルギー10kcal/100mL5kcal/100mL

暑熱環境で発汗が多い場合、飲料中の食塩濃度は0.1〜0.2%程度が一つの目安になります。

OS-1と水を1対1にした場合の食塩相当量は0.146g/100mL、つまり約0.15%です。

これは推奨される濃度範囲のほぼ中央に当たります。

成分だけを見れば、

「糖質を抑えながら、発汗時に必要なナトリウム濃度を確保する」

という目的に合っています。

スポーツドリンクより糖質を抑えられる

ポカリスエットやアクエリアスなどの一般的なスポーツドリンクは、水分やナトリウムだけでなく、運動中のエネルギーを補う目的で糖質を含んでいます。

商品によって異なりますが、糖質濃度はおおむね3〜6%程度です。

たとえば糖質6%のスポーツドリンクを1L飲めば、糖質は60g、エネルギーは約240kcalになります。

2L飲めば、糖質120g、約480kcalです。

ランニングや球技など、長時間の運動をしている場合には、この糖質がエネルギー源として役立ちます。

しかし、屋外警備員は大量の汗をかいていても、仕事の中心が立位、監視、交通誘導であり、必ずしも大きな糖質消費を伴っているとは限りません。

このような人がスポーツドリンクを終日飲み続けると、補水に必要な量を超えて糖質を摂取する可能性があります。

一方、OS-1と水を1対1の割合で摂取した場合、1Lあたりの成分はおおむね次のようになります。

・食塩相当量:約1.46g
・炭水化物:約12.5g
・エネルギー:約50kcal

スポーツドリンクと比べると、糖質とエネルギーをかなり抑えながら、発汗時に必要なナトリウムを確保できます。

OS-1は本来、脱水時に使用する経口補水液

ここで注意が必要なのは、OS-1は本来、日常的な水分補給用飲料ではないという点です。

OS-1は、軽度から中等度の脱水状態に対する経口補水療法を目的として設計されています。

たとえば、

・下痢や嘔吐がある
・発熱で水分を失っている
・すでに脱水症状がある
・大量発汗後に水分と電解質が不足している

といった状況です。

メーカーも、OS-1を水やジュースなどで薄めると、糖質と電解質のバランスが変わり、本来の吸収特性に影響するため、薄めずに飲むよう案内しています。

したがって、OS-1を水で薄めたものを「経口補水液」と呼ぶのは正確ではありません。

あくまで、

・脱水状態の治療には、OS-1をそのまま使用する
・暑熱作業中の予防には、水とOS-1を適切に組み合わせる

と分けて考える必要があります。

混ぜるより、別々に用意して交互に飲む

実際の現場では、OS-1を水で薄めて作り置きするよりも、

・水500mL
・OS-1 500mL

を別々に用意し、交互に飲む方が扱いやすいでしょう。

その理由は次の通りです。

・OS-1を製品として薄めずに済む
・発汗量に応じて摂取比率を調整できる
・脱水症状が出たときには、OS-1をそのまま使用できる
・作り置きによる衛生上の問題を避けられる
・本人が味や塩分濃度を調整しやすい

たとえば1時間に合計600mL飲む場合、

・水300mL
・OS-1 300mL

とすれば、平均的な摂取組成はOS-1を水で1対1に薄めた場合と同じになります。

全員が一律に1対1でよいわけではない

OS-1と水の割合は、発汗量や食事内容によって変える必要があります。

発汗が軽度から中等度の場合

食事を通常通り摂取できており、汗の量もそれほど多くない場合には、水を主体にします。

目安としては、

水2:OS-1 1

程度でも十分な可能性があります。

この割合では、平均的な食塩相当量は約0.097g/100mLとなり、暑熱作業時に推奨される濃度の下限付近になります。

大量発汗の場合

次のような状況では、

水1:OS-1 1

程度が合理的です。

・制服が汗でびしょ濡れになる
・汗が顔や腕から滴る
・数時間連続で屋外作業を行う
・皮膚や制服に白い塩が残る
・休憩しても発汗が続いている

ただし、発汗量が少ない時間帯まで一律に1対1で飲み続ける必要はありません。

脱水症状が出たら、勤務を続けない

口渇、頭痛、倦怠感、立ちくらみ、尿量減少などがある場合は、すでに脱水が始まっている可能性があります。

この場合は、飲料の種類を調整しながら勤務を続けるのではなく、まず作業を中止します。

涼しい場所へ移動し、衣服を緩め、首、腋の下、鼠径部などを冷却します。

意識が清明で、自力で飲める場合には、OS-1を薄めずに少量ずつ摂取します。

次のような症状がある場合は、救急対応が必要です。

・反応が鈍い
・言動がおかしい
・まっすぐ歩けない
・嘔吐して飲めない
・意識がもうろうとしている
・けいれんがある

熱中症対策は、水分補給だけで完結するものではありません。

休憩、日陰、冷房、身体冷却、勤務時間の短縮、交代要員の確保が必要です。

実際の現場での提案

屋外業務の水分補給については、次のような運用が現実的です。

通常の暑熱作業

水を主体にして、OS-1を補助的に飲みます。

目安は、

水2:OS-1 1

程度です。

大量発汗時

制服が濡れるほど汗をかく場合には、

水1:OS-1 1

程度を目安にします。

長時間歩く、重い装備を持つ場合

身体活動量が多く、食事が取れない場合には、スポーツドリンクの糖質がエネルギー補給として役立つことがあります。

警備員であっても、業務内容によって飲料を使い分ける必要があります。

脱水症状がある場合

勤務を中止し、冷却と休息を優先します。

自力で飲める場合には、OS-1をそのまま使用します。

まとめ

OS-1と水を1対1程度で摂取する方法は、屋外警備員など大量に発汗する人の予防的な水分・塩分補給として、成分上は合理的です。

ただし、OS-1を薄めて経口補水液として使うのではなく、水とOS-1を別々に用意して交互に飲む方がよいでしょう。

標準的な目安は、

・通常の暑熱作業では、水2:OS-1 1
・大量発汗時には、水1:OS-1 1
・脱水症状がある場合には、勤務を中止してOS-1をそのまま飲む

という使い分けです。

重要なのは、飲料を一律に決めるのではなく、

・発汗量
・身体活動量
・食事が取れているか
・持病や服薬
・脱水症状の有無

を見ながら調整することです。

OS-1と水の組み合わせは有用ですが、熱中症を予防する中心は、飲料だけではありません。

暑い時間帯を避ける、休憩回数を増やす、日陰や冷房を確保する、身体を冷却する、無理をさせないといった労働環境の整備が、より本質的な対策です。

参考資料

  1. 大塚製薬工場「オーエスワン PETボトル」
    https://www.os-1.jp/products/petbottle/
  2. 厚生労働省・労働局「職場における熱中症を予防しよう!」
    https://jsite.mhlw.go.jp/akita-roudoukyoku/content/contents/001453777.pdf
  3. 日本スポーツ協会「熱中症予防のための水分補給」
    https://www.japan-sports.or.jp/publish/tabid147.html
  4. 大塚製薬工場「オーエスワンを薄めたり、何かに混ぜてもいいですか?」
    https://www.os-1.jp/faq/06/
  5. 大塚製薬工場「健康な場合に飲んでも大丈夫ですか?」
    https://www.os-1.jp/faq/01/
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