脂質代謝

脂質代謝

LDLコレステロールの至適な値は 50 -70 mg/dl

序論:LDLコレステロールの「最適値」を問い直す 現代医学における脂質管理の歴史は、「どこまで下げるべきか」という問いの繰り返しでした。約20年前に発表されているO’Keefeらの論文(2004)では、低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-...
中枢神経・脳

虚血性脳卒中再発予防 LDL-C 40mg/dL未満の効果と安全性 下げすぎ?

はじめに LDLコレステロール(LDL-C)の低下が動脈硬化性疾患の再発予防に有効であることは、長年にわたって数多くの臨床試験で示されてきました。しかし、「どこまで下げるべきか」という問いに対しては、いまだ明確な答えが出ていません。特に虚血...
がん、悪性腫瘍

スタチン使用と乳がん死亡率の低下 Target Trial Emulation

序論:心血管薬ががん予後を変えるか スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は、心血管疾患予防の基幹薬として世界中で広く使用されています。その主たる作用は、メバロン酸経路の抑制によるコレステロール合成の低下ですが、近年この経路が腫瘍細胞の増...
がん、悪性腫瘍

スタチンと乳がん予後 systematic review/meta-analysis

序論 スタチンは世界中で数億人が服用する脂質低下薬です。HMG-CoA還元酵素を阻害し、肝臓でのコレステロール合成を抑制するという明快な作用機序を持ちながら、その効果は動脈硬化抑制を超えて、炎症・免疫・腫瘍代謝にも及ぶことが知られています。...
脂質代謝

飽和脂肪酸と健康:栄養素から食品ベースの視点へ

はじめに 飽和脂肪酸(saturated fatty acids, SFA)は長らく「心血管疾患の主要な危険因子」とみなされ、米国をはじめとする多くの食事ガイドラインで総摂取エネルギーの10%未満に制限するよう推奨されてきました。しかし、本...
脂質代謝

日本人におけるリポ蛋白(a)と心血管疾患リスク

はじめに 近年、リポ蛋白(a) は従来の脂質指標では説明できない心血管リスクを担う独立した因子として注目されています。欧米ではすでに30 mg/dLや50 mg/dLといったカットオフ値が臨床指針に組み込まれつつありますが、日本ではその基準...
脂質代謝

壊死性自己免疫性ミオパチーの臨床像:スタチン関連例を含む包括的検討

はじめに 壊死性自己免疫性ミオパチー(necrotizing autoimmune myopathy: NAM)は、近年注目を集める自己免疫性筋疾患の一つです。筋生検において著明な筋線維壊死と再生がみられる一方で、炎症細胞浸潤がほとんど認め...
脂質代謝

スタチン関連自己免疫性ミオパチー  NEJM(2016)のレビュー論文「Statin-Associated Autoimmune Myopathy」より

序論 スタチンは心血管疾患予防において最も広く処方されている薬剤であり、世界規模で数億人が服用しています。一般的には安全性が高く、副作用は軽度の筋肉痛や筋力低下にとどまる場合が多いです。しかし、その極めて稀な副作用として、自己免疫性壊死性ミ...
脂質代謝

スタチン関連免疫介在性壊死性ミオパチー(statin-associated IMNM)

序論 スタチンは世界で最も広く使用される脂質低下薬であり、心血管疾患の一次・二次予防における基盤的治療薬です。一般的な副作用として筋肉症状が知られており、スタチン使用者の5〜10%に筋痛や筋力低下がみられることが報告されています。しかし、そ...
中枢神経・脳

スタチン使用がくも膜下出血発症リスクを低減し得る

はじめに くも膜下出血(SAH)は、致死率が高く、救命できても重篤な後遺症を残すことが多い脳血管疾患です。主因は脳動脈瘤の破裂ですが、未破裂の段階で発見・外科的処置できるケースは限られます。近年、脂質低下薬として広く用いられるスタチンが、血...