脂質代謝

脂質代謝

“善玉”コレステロールのHDL-Cが正常値や高値であっても、それは機能不全HDLで「善玉」ではないかもしれない。

はじめに:HDLの多面的な役割 高密度リポ蛋白(High density lipoprotein;HDL)は従来、「善玉コレステロール」として知られ、動脈硬化に対する保護作用を持つと考えられてきました。HDL粒子とその主要な構成タンパク質で...
脂質代謝

高密度リポ蛋白(HDL)の多様性と逆コレステロール輸送における機能役割

はじめに 高密度リポタンパク質(High density lipoprotein;HDL)は長年「善玉コレステロール」として知られ、血中濃度が高いほど心血管疾患リスクが低いことが疫学的に示されてきました。しかし近年、HDLの「量」だけでなく...
脂質代謝

HDLの分類と組成(医療者向け)

高密度リポタンパク(High density lipoprotein;HDL)は、長らく「善玉コレステロール」として知られ、動脈硬化抑制に関与する主要な血漿リポタンパクの一つです。その抗動脈硬化作用は、単なる血中HDLコレステロール(HDL...
脂質代謝

HDLコレステロールは、本当に「善玉」なのか?

はじめに ― “善玉”とされるHDLの再評価 長年にわたり、「高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)」は動脈硬化から身体を守る“善玉”コレステロールとして知られてきました。しかし、HDL-Cの上昇が必ずしも心血管リスクの低下と一致...
脂質代謝

LDL-C/HDL-C比(LH比)を活用することでより精度の高い冠動脈疾患リスク層別化が可能になる

はじめに 冠動脈疾患(CHD)は依然として世界的な死亡原因の上位を占めており、その発症メカニズムの根幹には動脈硬化があります。これまで、LDL-C(低比重リポタンパクコレステロール)やHDL-C(高比重リポタンパクコレステロール)といった単...
脂質代謝

Lipoprotein(a)の臨床的意義と管理 2025

はじめに 動脈硬化性心血管疾患(Atherosclerotic Cardiovascular Disease;ASCVD)は、依然として世界的な主要死因となっています。近年、古典的リスク因子に加え、Lipoprotein(a)(Lp(a))...
心臓血管

atherosclerosisとarteriosclerosis:類似と相違から読み解く血管病変の本質

はじめに:見過ごされがちな二つの血管老化現象 動脈硬化(atherosclerosis)と動脈硬化(arteriosclerosis)は、いずれも加齢や生活習慣により進行する血管病変として知られています。一般的には「動脈硬化」という用語でひ...
脂質代謝

無症候性アテローム性動脈硬化症と早期予防戦略の新展開

はじめに:心血管疾患予防のパラダイムシフト 現代医学において、心血管疾患(CVD)は依然として世界の主要な死亡原因です。近年の研究は、臨床症状が現れる以前の段階である「無症候性アテローム性動脈硬化症(subclinical atherosc...
脂質代謝

悪玉LDLにApo(a)が結合した超悪玉=リポタンパク(a)(Lp(a))

はじめに:血中脂質の運搬体は、ただの「容器」ではない 血中に存在する脂質は、水に溶けないという性質上、運搬のためにタンパク質と複合体を形成して「リポタンパク」として存在します。これらのリポタンパクは、まるで細胞間を行き交う宅配便のようにコレ...
心臓血管

LDLの血管内皮下侵入メカニズム

はじめに:LDLとは何か、なぜ血管壁に入るのか LDL(Low-Density Lipoprotein)は、肝臓で生成され、血中を通じて全身の細胞へコレステロールを供給するリポタンパク粒子です。直径22〜27nmの球状構造を持ち、その表面に...