医療全般

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現代米国の子ども・若者の健康と幸福の悪化という危機

はじめに 近年、米国の子どもの健康状態が悪化しているという警鐘が、科学界や政策立案者から発せられています。この状況は、単一の健康指標に留まらず、複合的な要因が絡み合う複雑な問題として浮上しています。今回取り上げる論文「Trends in U...
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警察拘束下における急性死:興奮性せん妄 Excited Delirium Syndrome(ExDS)

はじめに 2025年某日某所、深夜に裸で叫ぶ30代女性が目撃され、警察官により保護された直後に意識を消失し、数時間後に死亡が確認されました。この事例は、その異常行動と突発的な死の経過から、「興奮性せん妄;Excited Delirium S...
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体脂肪率はBMIより優れた指標:若年成人における身体組成と死亡率 

はじめに 日常診療で最もよく使われる身体指標の一つが、体格指数(BMI: Body Mass Index)です。簡便で費用がかからず、各種ガイドラインや健康診断にも広く組み込まれていることから、医療者や一般の人々にとっては馴染み深い指標とい...
Digital Health

人工知能(AI)は心臓専門医を代替するのか?

はじめに:議論の枠組み 人工知能(AI)の進化は、循環器診療に大きな波をもたらしています。とくに生成AIやマルチモーダルAIの登場により、心電図や画像診断、治療アルゴリズム、さらには医学教育の根幹までもが変わろうとしています。欧州心臓病学会...
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臓器移植と性格変化 ―心臓移植だけではない「人格の移行」の可能性

はじめに:移植と自己同一性をめぐる問い 臓器移植は、生命を救う医療技術の象徴である一方で、移植後の患者が経験する心理的・感情的な変化については、長らく科学的議論の余地が残されてきました。なかでも注目されてきたのが「性格変化」です。とくに心臓...
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過剰な食塩摂取を避けるべきだが、個人の努力では難しい

はじめに:食塩は「白い毒」か、それとも必要不可欠な栄養か 食塩(NaCl)は人類にとって不可欠な栄養素であり、文化や歴史の中でその重要性が語られてきました。しかし現代においては、この必須ミネラルの「過剰」が深刻な健康問題を引き起こしています...
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CT検査を受けることによる発がんリスク:最新エビデンス

はじめに:有用性の裏に潜むリスク CT(コンピューター断層撮影)は、現代医療において欠かせない診断ツールの一つです。外傷評価やがんの進行度診断、心血管疾患の検出まで、あらゆる場面で威力を発揮します。その利用は増加の一途をたどっており、米国で...
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終末糖化産物 (AGEs) と疾患:病態と介入 2025

はじめに 終末糖化産物 (Advanced Glycation End Products;AGEs) は、還元糖とタンパク質、脂質、核酸との間の非酵素的反応によって生成される化合物群です 。AGEs は、体内では高血糖や酸化ストレスの条件下...
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ベルギーにおける安楽死

はじめに:安楽死をめぐるグローバルな動向とベルギーの位置付け 安楽死や医師幇助自殺を合法化する国々では、その実施件数が着実に増加しています。オランダでは2005年の1,933件から2019年には6,361件へ、スイスでは1991年から200...
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スギ花粉症が寿命を延ばす?──免疫の逆説と死亡リスク

はじめに スギ花粉症は日本における国民病といわれるほど有病率が高く、1998年には17.4%、2008年には26.5%、2019年には42.5%と急増しています。このアレルギー疾患は不快な症状をもたらす一方で、生命予後において予想外の“保護...