心臓血管

がん、悪性腫瘍

がんサバイバーに潜む心血管死亡リスク:日本全国データに基づく解析

はじめに がんの治療成績が向上し、生存期間が大きく延伸する中で、「がんサバイバー」の長期的な健康リスクへの関心が高まっています。中でも心血管疾患(Cardiovascular Disease, CVD)は、がん治癒後に現れる“第2の脅威”と...
Digital Health

人工知能が革新する循環器診療

はじめに:AIと心血管医療の接点 近年、人工知能(AI)の進歩が急速に進み、心血管医療にも変革の波が押し寄せています。これまで医師の熟練によって支えられていた診断やリスク評価、画像読影、さらには治療選択にまで、AIは精度と効率性の面で大きな...
Digital Health

AIによる心エコー自動解析システム「PanEcho」

はじめに:心エコーの進化とAIの可能性 心エコー検査(transthoracic echocardiography:TTE)は、非侵襲的に心臓構造と機能を把握できる重要な検査手段であり、米国だけでも年間750万件以上が実施されています。しか...
心臓血管

心筋梗塞後の予後管理における「便秘」

はじめに:心筋梗塞後の転帰を左右する新たな因子とは 心筋梗塞(myocardial infarction: MI)は、急性期の救命率が改善してきた一方で、退院後の慢性期管理がその後の予後を大きく左右する疾患です。特に心不全(heart fa...
心臓血管

心不全患者において下大静脈拡張はうっ血のサインだが、トップアスリートではよくあることらしい。

はじめに 運動生理学において、「アスリートの心(athlete’s heart)」は、長期的な持久的トレーニングにより生じる心筋の構造的・機能的な適応を指す概念として広く知られています。左室の内径拡大、壁厚増加、心拍出量の増大はその代表的変...
心臓血管

タコツボ心筋症の臨床的実態:Update

はじめに:良性とは言い難いたこつぼ型心筋症の実像 たこつぼ型心筋症(Takotsubo cardiomyopathy)は、感情的あるいは身体的ストレスを契機として一過性の左室壁運動異常を呈する心疾患であり、しばしば「ストレス心筋症」あるいは...
心臓血管

下大静脈の変化は、静脈圧の変化よりも鋭敏である

はじめに:静脈の「かたち」に注目する 心不全による入院の半数以上が急性増悪(ADHF)によるもので、医療経済的にも大きな負担となっています。心不全におけるうっ血は、病態進展と再入院を繰り返す大きな要因であり、的確なうっ血の評価は治療方針の決...
心臓血管

下大静脈センサーによる心不全の遠隔管理:FUTURE-HF試験

はじめに:うっ血性心不全における新たなモニタリング技術の可能性 心不全(heart failure, HF)の急性増悪、特にうっ血性増悪は、再入院や死亡リスクの主要因であり、慢性心不全管理における最大の課題の一つです。臨床所見のみではうっ血...
医療全般

臓器移植と性格変化 ―心臓移植だけではない「人格の移行」の可能性

はじめに:移植と自己同一性をめぐる問い 臓器移植は、生命を救う医療技術の象徴である一方で、移植後の患者が経験する心理的・感情的な変化については、長らく科学的議論の余地が残されてきました。なかでも注目されてきたのが「性格変化」です。とくに心臓...
心臓血管

心臓に宿る記憶、嗜好【真実か?単なる逸話か?】

はじめに:記憶は脳だけに宿るのか? 現代医学は、記憶や学習の機能を基本的に中枢神経系、特に大脳皮質や海馬といった脳構造に帰属させてきました。しかしこの常識に一石を投じるのが、2000年に発表されたPearsallらによる本研究です。本論文は...