心臓血管

がん、悪性腫瘍

がんと心血管疾患:共通のリスク因子と統合的予防戦略

はじめに がんと心血管疾患(CVD)は、世界的な死亡の半分以上を占める二大疾患です。かつては別々の領域で論じられてきましたが、近年の知見は両者が深く絡み合い、互いに進展を促す「双方向的関係」を持つことを示しています。加齢、喫煙、肥満、糖尿病...
心臓血管

プラスチック添加物と心血管疾患:見過ごされてきた地球規模の脅威

はじめに プラスチックに含まれる化学添加物の安全性は、ここ数十年にわたり議論されてきました。その中でもジ(2-エチルヘキシル)フタレート(Di(2-ethylhexyl)phthalate); DEHP)(フタル酸ジエチルヘキシル)は、柔軟...
心臓血管

僧帽弁逸脱症(Mitral Valve Prolapse: MVP)の有病率、進行率、臨床的転帰

はじめに 僧帽弁逸脱症(Mitral Valve Prolapse: MVP)は、左室収縮期に一方または両方の僧帽弁尖が左心房方向へ突出する構造的異常であり、僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation: MR)の主要な原因の...
心拍/不整脈

左脚ブロック(LBBB)と心不全リスク

なぜ左脚ブロック(LBBB)が問題か LBBBは心不全(HF)と低左室駆出率(LVEF)を有する患者で死亡率上昇と結びつき、再同期療法(CRT)が有効であることはよく知られています。一方で、無症候の地域在住者で偶発的に見つかるLBBBが、そ...
Digital Health

非侵襲的な肺動脈楔入圧(PCWP)推定技術の革新:ウェアラブルセンサーとAIを活用した心不全管理

はじめに:心不全管理の新たな地平を開く技術 心不全(HF)の臨床管理において、体液貯留やうっ血の評価は極めて重要な要素です。特に、肺動脈楔入圧(PCWP)は、左心系の充満圧を反映する信頼性の高い指標とされており、心不全増悪の早期発見や治療調...
心臓血管

虚血性心疾患を有する人は富士山登頂を目指せるか?

はじめに:標高3776mの挑戦に心臓はどう応えるか 富士山。標高3776mという日本最高峰の頂を目指す行為は、多くの人にとって精神的な達成であると同時に、身体にとっても大きな挑戦です。特に虚血性心疾患(CAD:冠動脈疾患)を抱える人々にとっ...
心臓血管

虚血性心疾患患者の登山

はじめに 標高2500mを超える高地は、美しい風景の裏に、心血管系にとって予想以上に過酷な生理的挑戦を隠しています。特に、すでに冠動脈疾患(CAD)を有する患者にとっては、減圧・低酸素・寒冷といった複合的なストレスが、潜在する虚血リスクを顕...
女性医療

妊娠関連静脈血栓塞栓症の臨床像と転帰

はじめに 妊娠は生理的変化によって凝固能が高まる状態であり、静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism, VTE)のリスクが非妊娠時に比べて6〜7倍に上昇するとされています。VTEは、肺血栓塞栓症(PE)と深部静脈血栓症(...
Digital Health

人工知能(AI)は心臓専門医を代替するのか?

はじめに:議論の枠組み 人工知能(AI)の進化は、循環器診療に大きな波をもたらしています。とくに生成AIやマルチモーダルAIの登場により、心電図や画像診断、治療アルゴリズム、さらには医学教育の根幹までもが変わろうとしています。欧州心臓病学会...
がん、悪性腫瘍

がんサバイバーに潜む心血管死亡リスク:日本全国データに基づく解析

はじめに がんの治療成績が向上し、生存期間が大きく延伸する中で、「がんサバイバー」の長期的な健康リスクへの関心が高まっています。中でも心血管疾患(Cardiovascular Disease, CVD)は、がん治癒後に現れる“第2の脅威”と...