心臓血管

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虚血性左室機能不全「血行再建こそが正義」というパラダイムからの脱却

はじめに 虚血性心疾患を背景とした左室機能不全(Ischemic Left Ventricular Dysfunction:iLVD)は、駆出率の低下した心不全(HFrEF)の最も主要な原因です。非虚血性心筋症と比較して、虚血性病因は短期的...
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心血管疾患予防における「炎症」の重要性

はじめに 長年、心血管疾患(CVD)予防の主戦場は低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下にありました。しかし、強力なスタチン療法によってLDL-Cを極限まで下げてもなお、再発を繰り返す患者が絶えません。2025年に発表されたACC...
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大動脈瘤は単なる血管の拡張ではなく、プラーク内のマクロファージが引き起こす「血管壁の侵食」である

はじめに 静かなる殺し屋、大動脈瘤。それは血管壁が長い時間をかけて脆弱化し、大動脈が突如として決壊、失血死へと至る最悪のシナリオを秘めた疾患です。これまで、遺伝性疾患を除けば、動脈硬化、高血圧、そして何よりも喫煙が強力なリスク因子として知ら...
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急性心筋梗塞後の心破裂 

はじめに 循環器医療の進歩は目覚ましいものがあります。かつては死の病であった急性心筋梗塞も、カテーテル治療の普及と強力な抗血小板薬の登場により、救命率は飛躍的に向上しました。しかし、そのような現代医療の勝利の陰で、依然として私たち臨床医を戦...
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冠動脈に狭窄がなさそうなのに胸痛が生じる人たち

はじめに:見過ごされてきた狭心症の真犯人 胸痛や呼吸困難といった心筋虚血を疑わせる症状を持ちながら、冠動脈造影では明らかな閉塞性病変が認められない患者群は、非閉塞性冠動脈疾患を伴う狭心症(ANOCA:Angina with Nonobstr...
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尾﨑 重之医師によるOzaki手術:自己心膜等を使用した大動脈弁再建術

はじめに オザキ手術、すなわち「自己心膜等を使用した大動脈弁再建術」は、2007年に尾崎重之医師によって導入されて以来、大動脈弁疾患に対する治療の新たな選択肢として注目を集めてきました。これは、機械弁や生体弁といった人工物を一切使用せず、患...
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慢性心不全と心臓移植をつなぐ「自律神経」の核心

序論:心不全を「循環器疾患」だけで捉える時代の終わり 慢性心不全(CHF)は長く、ポンプ機能の低下という“力学的疾患”として理解されてきました。しかし本論文が強調するのは、心不全はむしろ 自律神経系(autonomic nervous sy...
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急性心筋梗塞(AMI)後の不整脈

はじめに:再灌流時代の不整脈をどう捉えるか 急性心筋梗塞(AMI)後の不整脈は、再灌流療法の普及により大きく減少しました。しかし、発症48時間以内の虚血性不整脈は依然として致死的合併症の一つであり、短期死亡の主要因です。再灌流によって電気的...
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仰臥位での睡眠は狭心症リスクを上げる?

はじめに 睡眠は心血管の健康を左右する重要な生活因子であり、睡眠時間や睡眠の質が動脈硬化や心筋梗塞、心不全のリスクに影響することは広く知られています。しかし「どの姿勢で眠るか」が心臓に与える影響については、ほとんど検証されていません。今回紹...
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恐怖は本当に「血を凍らせる」のか:ホラー映画と凝固因子VIII上昇の科学

序論:言葉と科学の接点 「血が凍るような恐怖」という表現は、英語の bloodcurdling をはじめ、フランス語の à vous glacer le sang、ドイツ語の das blut in den Adern erstarrt な...