心臓血管

急性心筋梗塞(AMI)後の不整脈

はじめに:再灌流時代の不整脈をどう捉えるか 急性心筋梗塞(AMI)後の不整脈は、再灌流療法の普及により大きく減少しました。しかし、発症48時間以内の虚血性不整脈は依然として致死的合併症の一つであり、短期死亡の主要因です。再灌流によって電気的...
心拍/不整脈

最大心拍数の推定式は正確なのか?その誤差要因は?

序論:最大心拍数という「生理学的上限」 最大心拍数(Maximal Heart Rate, MHR)は、心拍がどこまで上がるかという「心臓の生理的限界」を示す指標であり、運動強度の設定・心肺フィットネス評価・リスク管理の基盤をなすパラメータ...
脂質代謝

LDLコレステロールの至適な値は 50 -70 mg/dl

序論:LDLコレステロールの「最適値」を問い直す 現代医学における脂質管理の歴史は、「どこまで下げるべきか」という問いの繰り返しでした。約20年前に発表されているO’Keefeらの論文(2004)では、低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-...
消化器科

「脂肪肝」は、肝臓だけの問題ではなく、全身の疾患リスクを内包する“代謝症候群の肝臓表現”である

はじめに 近年、「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」という呼称は、代謝異常を背景とする病態をより正確に反映するため、「代謝異常関連脂肪肝疾患(Metabolic Dysfunction–Associated Steatotic Liv...
中枢神経・脳

虚血性脳卒中再発予防 LDL-C 40mg/dL未満の効果と安全性 下げすぎ?

はじめに LDLコレステロール(LDL-C)の低下が動脈硬化性疾患の再発予防に有効であることは、長年にわたって数多くの臨床試験で示されてきました。しかし、「どこまで下げるべきか」という問いに対しては、いまだ明確な答えが出ていません。特に虚血...
眼科

高齢者における視覚、聴覚、嗅覚、触覚の障害による死亡リスク上昇を最小限にする方法

はじめに:感覚の衰えは、単なる老化現象ではない 私たちは日常生活の中で、視覚、聴覚、嗅覚、触覚といった複数の感覚を無意識のうちに使いながら、世界を認識しています。ところが加齢とともにこれらの感覚は徐々に衰え、そのことが生活の質だけでなく、生...
耳鼻咽喉科関連

なぜ嗅覚障害と死亡リスクに強い関連があるのか?

はじめに 嗅覚は、食事の楽しみや危険察知、そして社会的交流に関与する、極めて多面的な感覚です。しかし、この「においを感じる力」は、私たちが思う以上に命の長さと密接に結びついていることがわかってきました。2020年にVan Regemorte...
女性医療

低用量ピル、ホルモン補充療法の副作用のメカニズムに迫る;エストロゲンの光と影

序論:エストロゲンの「二面性」をめぐる再考 長らくエストロゲンは「心血管保護ホルモン」として知られてきました。女性における閉経後の心血管リスク上昇は、エストロゲン欠乏が原因の一つとされ、ホルモン補充療法(HRT)はその予防策と考えられてきま...
耳鼻咽喉科関連

嗅覚の衰えが心臓病を予告する

序論:見過ごされてきた感覚の意味 私たちは視覚や聴覚の異常には敏感ですが、嗅覚の低下にはあまり注意を払いません。しかし高齢者において、嗅覚の衰えは単なる老化現象ではなく、生命予後を左右するサインであることが近年明らかになっています。今回、C...
身体活動

職業的活動と余暇的活動の健康への影響

はじめに 近年、世界的に「身体活動は健康寿命を延ばす」というメッセージが広く共有されています。しかしその一方で、体をよく動かす職業に従事している人々が、必ずしも長寿であるとは限らないという“身体活動パラドックス(physical activ...