耳鼻咽喉科関連

なぜ嗅覚障害と死亡リスクに強い関連があるのか?

はじめに 嗅覚は、食事の楽しみや危険察知、そして社会的交流に関与する、極めて多面的な感覚です。しかし、この「においを感じる力」は、私たちが思う以上に命の長さと密接に結びついていることがわかってきました。2020年にVan Regemorte...
女性医療

低用量ピル、ホルモン補充療法の副作用のメカニズムに迫る;エストロゲンの光と影

序論:エストロゲンの「二面性」をめぐる再考 長らくエストロゲンは「心血管保護ホルモン」として知られてきました。女性における閉経後の心血管リスク上昇は、エストロゲン欠乏が原因の一つとされ、ホルモン補充療法(HRT)はその予防策と考えられてきま...
耳鼻咽喉科関連

嗅覚の衰えが心臓病を予告する

序論:見過ごされてきた感覚の意味 私たちは視覚や聴覚の異常には敏感ですが、嗅覚の低下にはあまり注意を払いません。しかし高齢者において、嗅覚の衰えは単なる老化現象ではなく、生命予後を左右するサインであることが近年明らかになっています。今回、C...
身体活動

職業的活動と余暇的活動の健康への影響

はじめに 近年、世界的に「身体活動は健康寿命を延ばす」というメッセージが広く共有されています。しかしその一方で、体をよく動かす職業に従事している人々が、必ずしも長寿であるとは限らないという“身体活動パラドックス(physical activ...
がん、悪性腫瘍

スタチン使用と乳がん死亡率の低下 Target Trial Emulation

序論:心血管薬ががん予後を変えるか スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は、心血管疾患予防の基幹薬として世界中で広く使用されています。その主たる作用は、メバロン酸経路の抑制によるコレステロール合成の低下ですが、近年この経路が腫瘍細胞の増...
がん、悪性腫瘍

スタチンと乳がん予後 systematic review/meta-analysis

序論 スタチンは世界中で数億人が服用する脂質低下薬です。HMG-CoA還元酵素を阻害し、肝臓でのコレステロール合成を抑制するという明快な作用機序を持ちながら、その効果は動脈硬化抑制を超えて、炎症・免疫・腫瘍代謝にも及ぶことが知られています。...
食事 栄養

英国飲料におけるマイクロプラスチック曝露の現実 2025

はじめに 私たちが日常的に口にするコーヒー、紅茶、ジュース。そのどれもが「安全」だと信じて疑わないものです。しかし2025年に発表されたAl-Mansooriらの研究は、この日常の飲み物の中に「合成マイクロプラスチック(MPs)」が普遍的に...
食事 栄養

飲料中のマイクロ・ナノプラスチック汚染 「環境問題」から「食品安全」 へ

序論 私たちが毎日手に取るペットボトルの水やコーヒー、炭酸飲料。その中に、目には見えないほど微細なプラスチック粒子が含まれていることをご存じでしょうか。マイクロプラスチック(MPs, <5mm)およびナノプラスチック(NPs, 1–100n...
生活環境

マイクロプラスチックと人体:見えない侵入者がもたらす健康影響

はじめに 私たちの生活を支えるプラスチックは、今やあらゆる環境に浸透しています。2020年の世界のプラスチック生産量は4億3500万トンに達し、2000年の約2倍に増加しました。さらに2040年には70%の増加が見込まれており、その影響は環...
中枢神経・脳

睡眠中の頭部姿勢と神経変性疾患の関連性 ― グリンパ系と重力の視点から

はじめに 神経変性疾患(Neurodegenerative Disease: NDD)は、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)などを含み、高齢社会における大きな課題です。近年...