心臓血管

急性心筋梗塞後の心破裂 

はじめに 循環器医療の進歩は目覚ましいものがあります。かつては死の病であった急性心筋梗塞も、カテーテル治療の普及と強力な抗血小板薬の登場により、救命率は飛躍的に向上しました。しかし、そのような現代医療の勝利の陰で、依然として私たち臨床医を戦...
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若年女性の胸痛「特発性冠動脈解離 SCAD」

はじめに 心筋梗塞といえば、長年の不摂生が招く動脈硬化、あるいは高齢男性の病気というイメージが一般的ではないでしょうか。しかし、その常識の裏側で、リスク因子をほとんど持たない若く健康な女性を突如として襲う、別のメカニズムが存在します。それが...
睡眠

「社会的時差ボケ」の脅威:日本人労働者を蝕む生産性低下要因

はじめに 睡眠が健康に不可欠であることは、もはや自明の理です。しかし、現代のビジネスパーソンにとって、睡眠は単なる休息以上の意味を持ちます。それは、翌日のパフォーマンスを決定づける「投資」であり、キャリアの持続可能性を左右する「基盤」です。...
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冠微小血管機能障害と心室性期外収縮

はじめに 従来の虚血性心疾患の理解は、主に太い冠動脈の閉塞や狭窄、すなわち「アテローム性動脈硬化」に焦点を当ててきました。しかし、冠動脈に目立った狭窄がないにもかかわらず、狭心症や心筋虚血の症状を呈する患者(INOCA:Ischemia w...
感染症関連

成人RSウイルス感染症がもたらす「1年後」までの心血管イベントリスク

序論  呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、長きにわたり小児科領域、あるいは高齢者の「風邪」の原因ウイルスとして認識されてきました。しかし、2025年にJAMA Network Openで発表されたHviid氏らによるデンマークの全国コホート...
食事 栄養

「ゆっくりよく噛んで食べる」ためには、どうすれば良いのか?

序論 肥満や生活習慣病の予防において、「食事のスピード」や「咀嚼の程度」が重要な行動因子であることは、多くの疫学研究によって示されてきました。例えば、食べる速さと肥満(BMI≧25.0)の関係や、咀嚼回数を増やすことによる満腹感の促進などが...
医療全般

身長と疾患リスク:高身長の人がなりやすい病気、なりにくい病気

はじめに 成人身長と様々な疾患リスクとの関連性は、数十年にわたり疫学研究の対象となってきました。先行研究では、一般的に高身長は冠動脈疾患(CAD)リスクの低下と関連し、特定のがん種や静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク増加と関連することが示され...
中枢神経・脳

頸動脈狭窄:最適化された内科的治療時代の血行再建術の意義

はじめに 数十年にわたり、高度な無症候性頸動脈狭窄症(一般的に70%以上)を有する患者に対する標準治療は、集中内科的治療と頸動脈血行再建術(Carotid Revascularization)を組み合わせることにありました。過去のランドマー...
心臓血管

冠動脈に狭窄がなさそうなのに胸痛が生じる人たち

はじめに:見過ごされてきた狭心症の真犯人 胸痛や呼吸困難といった心筋虚血を疑わせる症状を持ちながら、冠動脈造影では明らかな閉塞性病変が認められない患者群は、非閉塞性冠動脈疾患を伴う狭心症(ANOCA:Angina with Nonobstr...
心臓血管

尾﨑 重之医師によるOzaki手術:自己心膜等を使用した大動脈弁再建術

はじめに オザキ手術、すなわち「自己心膜等を使用した大動脈弁再建術」は、2007年に尾崎重之医師によって導入されて以来、大動脈弁疾患に対する治療の新たな選択肢として注目を集めてきました。これは、機械弁や生体弁といった人工物を一切使用せず、患...