がん、悪性腫瘍

がんサバイバーに潜む心血管死亡リスク:日本全国データに基づく解析

はじめに がんの治療成績が向上し、生存期間が大きく延伸する中で、「がんサバイバー」の長期的な健康リスクへの関心が高まっています。中でも心血管疾患(Cardiovascular Disease, CVD)は、がん治癒後に現れる“第2の脅威”と...
Digital Health

人工知能が革新する循環器診療

はじめに:AIと心血管医療の接点 近年、人工知能(AI)の進歩が急速に進み、心血管医療にも変革の波が押し寄せています。これまで医師の熟練によって支えられていた診断やリスク評価、画像読影、さらには治療選択にまで、AIは精度と効率性の面で大きな...
食事 栄養

ダイエットとしてのファスティング(断食)、どのやり方が最も優れているのか?RCT99件を統合したメタ解析

はじめに 現代の食環境では、飽食こそが生活習慣病の温床となっています。これに対抗する手段として、古来から断食が注目されてきました。中でも近年、科学的文脈で再評価されているのが「間欠的断食(intermittent fasting:IF)」で...
血圧

コントロールに難渋する高血圧(抵抗性高血圧)の評価と管理

抵抗性高血圧の定義と疫学的意義 抵抗性高血圧(Resistant Hypertension: RHTN)は、最大耐用量またはほぼ最大耐用量の3種類の降圧薬(うち1つは利尿薬)を使用しても目標血圧を達成できない状態、あるいは4種類以上の降圧薬...
心拍/不整脈

アスリートの最大心拍数と有酸素運動:心血管と神経系の適応

はじめに:なぜ最大心拍数の変化が重要なのか 最大心拍数(Maximum Heart Rate:MHR)は、運動強度を定量化し、トレーニングの個別化を進めるうえで不可欠な指標です。従来、MHRは「220−年齢」という単純な算出式に基づいて推定...
生活環境

光曝露と心臓迷走神経活動の関係

はじめに ヒトの生理と行動は光の影響を強く受けています。視覚的刺激としての光に加えて、光は内分泌系や自律神経系を介して睡眠、情動、覚醒状態をも制御します。近年、特に注目されているのが「光曝露による心臓迷走神経活動(cardiac vagal...
Digital Health

AIによる心エコー自動解析システム「PanEcho」

はじめに:心エコーの進化とAIの可能性 心エコー検査(transthoracic echocardiography:TTE)は、非侵襲的に心臓構造と機能を把握できる重要な検査手段であり、米国だけでも年間750万件以上が実施されています。しか...
心拍/不整脈

高齢高血圧患者における累積安静時心拍数と心血管イベント・全死亡リスクの関係

研究の背景と意義 心血管疾患(CVD)は依然として世界の主要な死因であり、高血圧はその最も重要な修正可能な危険因子です。これまでの研究では、単一の安静時心拍数(RHR;Resting Heart Rate)測定値と心血管リスクの関連が報告さ...
ポジティブ心理学

通勤と主観的幸福感・メンタルヘルスの関連性

はじめに 現代社会において、通勤は多くの人々の日常生活に深く根付いた習慣的行動です。英国労働組合会議(TUC)の報告によれば、2009年時点で英国南東部の労働者は、前年比31時間も通勤時間が増加しています。このような時間的負担は、人々の主観...
心臓血管

心筋梗塞後の予後管理における「便秘」

はじめに:心筋梗塞後の転帰を左右する新たな因子とは 心筋梗塞(myocardial infarction: MI)は、急性期の救命率が改善してきた一方で、退院後の慢性期管理がその後の予後を大きく左右する疾患です。特に心不全(heart fa...