中枢神経・脳

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睡眠中の頭部姿勢と神経変性疾患の関連性 ― グリンパ系と重力の視点から

はじめに 神経変性疾患(Neurodegenerative Disease: NDD)は、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)などを含み、高齢社会における大きな課題です。近年...
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強化降圧療法で脳卒中リスクは上がるのか?下がるのか?

はじめに 脳卒中は世界的に依然として主要な死亡・障害原因の一つであり、特に東アジア地域では高い発症率を示しています。その最大の修正可能な危険因子は高血圧であり、収縮期血圧(SBP)の管理が脳卒中予防の鍵を握ります。しかし、至適な降圧目標値に...
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受容体は「単なる入り口」ではなく「認知の主体」?:「We Are Our Receptors」

序論 私たちが普段「認知」と呼んでいるものは、脳の皮質が情報を処理する結果として理解されてきました。しかし、2025年にArturo Tozzi氏が発表した論文「We Are Our Receptors: Rethinking Cortex...
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気象と片頭痛――「単独原因」ではなく「閾値を超える複合要因」としての理解

背景と目的 片頭痛は若年女性で最大の障害要因の一つであり、患者はしばしば「天気が悪いと頭が痛む」と訴えます。本レビューは、気圧・湿度・風・雷などの気象要素が頭痛、とりわけ片頭痛にどう関わるのかを、近年の研究知見と神経生物学的メカニズムの視点...
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音声バイオマーカーによる認知機能低下の検出

はじめに 軽度認知障害(MCI)は認知症への移行段階にあたり、早期に発見することが重要です。しかし、世界的に見てもMCI患者の約92%が未診断のままであり、認知症の一次予防や介入の機会を逃しているのが現状です。従来、認知機能のスクリーニング...
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スタチン使用がくも膜下出血発症リスクを低減し得る

はじめに くも膜下出血(SAH)は、致死率が高く、救命できても重篤な後遺症を残すことが多い脳血管疾患です。主因は脳動脈瘤の破裂ですが、未破裂の段階で発見・外科的処置できるケースは限られます。近年、脂質低下薬として広く用いられるスタチンが、血...
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下位脳神経症候群:多彩な神経症候

はじめに 脳神経のうち、特に下位脳神経(Lower Cranial Nerves, 以下LCN)である第IX〜XII脳神経(舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経)は、咀嚼・嚥下・音声・味覚・自律機能など、生命維持と生活の質に直結する多彩な機...
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心血管リスク因子はどのくらい認知症発症と関連するのか?「80歳を超えてからでは遅い」という現実

はじめに  認知症の発症には加齢や遺伝的素因だけでなく、生活習慣に基づく修正可能な危険因子の関与が指摘されてきました。その中でも特に「中年期の高血圧・糖尿病・喫煙」は、血管性病変を介して脳機能に影響を与えるとされ、近年ではアルツハイマー病と...
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不整脈発症後、認知症の進行が加速する:16年間の縦断コホート研究

はじめに 加齢とともに増加する心房細動などの不整脈は、脳卒中や認知症といった重大な転帰と関連していることが数多くの研究で示されています。なかでも、心房細動が脳血流の変動や微小塞栓を介して認知機能に影響を及ぼす可能性が注目されてきました。こち...
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頸動脈狭窄治療における個別化医療の新たな展望:ECST-2試験2年間中間結果

はじめに 頸動脈狭窄に対する血行再建術(carotid endarterectomy: CEAまたはcarotid artery stenting: CAS)は、30年以上前のランダム化比較試験(RCT)の成果に基づき、長らく脳卒中予防戦略...