ピラティスは血糖やコレステロールの値を改善するのか?

身体活動

動脈硬化性疾患は世界的な健康上の問題

糖尿病や高コレステロール血症、つまり糖代謝や脂質代謝の異常とそれに続発する動脈硬化性疾患は世界的な健康上の問題です。

運動が糖代謝、脂質代謝に有意な好影響を与えることは多くの研究で示されています。

家の中でもどこでもできるし、道具も不要で、気軽に実践できるピラティスをこのブログではしばしばお勧めしていますが、そのピラティスの糖代謝や脂質代謝への影響はどうなのでしょうか?

それらに関する系統的レビュー、メタ解析論文をご紹介したいと思います。

ピラティスの糖代謝・脂質代謝への影響に関する論文

Effect of Pilates on Glucose and Lipids: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.
Front Physiol. 2021 May 28;12:641968.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34135767/

【方法】
2020年10月までに発表された関連する論文を複数のデータベースで検索。最終的に条件に合致する15の無作為化比較試験(RCT)を対象とした。

対象者は全部で587名、その背景は各試験により異なり、例えば高齢女性、肥満の男女、運動不足の女性、糖尿病の女性、肥満の女性、中年女性など。

ピラティスは1セッション30-90分、週2-3回、 介入期間は6-16週ほどであった。
1セッション60分、週2-3回 8-12週くらいの設定が最も多かった。


【結果】

ピラティス群は、対照群と比較して、
・非糖尿病患者では、血糖値・脂質代謝に有意な影響を及ぼさなかった。
・糖尿病患者では、食後血糖値、空腹時血糖値、HbA1c、中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロールの低下など、糖代謝・脂質代謝を有意に改善した。

・糖代謝、脂質代謝の改善効果は、介入後8週間の段階で認められた。
・糖尿病患者が200分/週 以上のピラティスを受けた場合、空腹時血糖値、食後血糖値が対照群に比べて有意に改善したが、200分/週未満の場合,両群間で有意な差は認められなかった。
・HAb1cについては、ピラティスのセッションの最小時間は120分/週であった。

論文をまとめると、

まとめると、

糖尿病患者は、ピラティスを120-200分/週 以上、8週間行うことで、糖代謝、脂質代謝の改善が期待できる。

ということになります。

非糖尿病者に対する効果は明らかではありませんでした。非糖尿病者は、糖尿病患者に比べれば血糖やHbA1cは変動が少ないために、ピラティスによる効果が出にくいのは当然のことかと思います。脂質パラメーターに関しても同様なことが言えると思います。数値には出にくいですが、非糖尿病者がピラティスを行うことが無駄かというとそんなことはないと思います。

ピラティスのメリット

ピラティスはジョギングやランニングなどの体重がかかる運動よりも関節への負担が少なく、特に過体重・肥満の人や、関節に問題がある人には適しています。体重が重い糖尿病の人にはとても良いと思います。

そして、雨の日も風の日も、パンデミックの時も、仲間がいても、いなくても、関係なく、家の中でもどこでもできるし、道具も不要で、1人で隙間時間でもできるピラティスは、気軽に実践できます。

これまでもピラティスの、様々な心身への好影響が報告されていますが、今回の論文を見ると糖尿病やその傾向がある人、それを予防したい人にはさらにお勧めなエクササイズであると感じます。

ピラティス教室をお探しの人は、zenplaceはお勧めです。
https://www.zenplace.co.jp/

Youtubeなどにも色々なピラティスの動画が出てきます。検索してみてください。

【参考文献】

Chen Z, Ye X, Xia Y, Song H, Wang Y, Guan Y, Shen Z, Chen W, Jiang T, Wu H, Xu X. Effect of Pilates on Glucose and Lipids: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Front Physiol. 2021 May 28;12:641968. doi: 10.3389/fphys.2021.641968. PMID: 34135767; PMCID: PMC8202501.

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