- 1. プラントベース食事指数(plant-based diet index;PDI)
- 2. 健康的なプラントベース食事指数(healthy PDI;hPDI)
- 3. 不健康なプラントベース食事指数(unhealthy PDI;uPDI)
- 4. 地中海食スコア(Mediterranean diet;MedDiet)
- 5. DASH食スコア(Dietary Approaches to Stop Hypertension)
- 6. プラネタリーヘルス食事指数(Planetary Health Diet Index;PHDI)
- 7. 低炭水化物食スコア(low-carbohydrate diet;LCD)
- 8. 健康的な低炭水化物食スコア(healthy LCD;HLCD)
- 9. 不健康な低炭水化物食スコア(unhealthy LCD;ULCD)
- 10. 経験的食事性炎症パターン(empirical dietary inflammatory pattern ;EDIP)
- 11. 経験的食事性高インスリン血症指数(empirical dietary index for hyperinsulinemia ;EDIH)
- 補足:超加工食品(UPF)の評価
はじめに
更年期を迎える女性にとって、体重のコントロールは極めて困難な課題です。エストロゲンの低下にともなう脂質代謝の変動や脂肪分布の変化は、内臓脂肪の蓄積を促し、心血管疾患や糖尿病、一部のがんのリスクを直接的に引き上げることがわかっています。これまで、個別の食品や特定の栄養素に着目した断片的な研究は数多く存在しましたが、複数の包括的な食事パターンを同一のコホート内で直接比較した長期研究はほとんど存在しませんでした。2026年に発表された本研究は、世界的に信頼性の高い大規模コホートデータを活用し、更年期の前後12年間という極めて重要な移行期における11種類の食事パターンと超加工食品の摂取を網羅的に評価し、それらが長期的な体重変化と新規肥満の発症リスクに与える影響を同一条件のもとで直接比較した点に、極めて高い新規性があります。
研究プロトコールの概要とデザイン
研究デザイン:更年期前後の女性38283人を対象に、最長30年間の追跡データを用いて実施された前瞻的集団ベースコホート研究です。
PECOモデルに準じたプロトコールの詳細は以下の通りです。
- P(対象者):Nurses Health Study IIに参加した、自然閉経を報告した更年期前後の女性38283人。閉経報告の前後各6年間、計12年間の移行期を分析対象としました。ベースライン時の平均年齢は45.6歳(標準偏差3.0歳)です。
- E(曝露):11種類の食事パターンおよび超加工食品の摂取。
食事パターンには、
・プラントベース食事指数(plant-based diet index;PDI)
・健康なPDI(healthy PDI;hPDI)
・不健康なPDI(unhealthy PDI;uPDI)
・地中海食(Mediterranean diet;MedDiet)
・DASH食(Dietary Approaches to Stop Hypertension)
・プラネタリーヘルス食事指数(Planetary Health Diet Index;PHDI)
・低炭水化物食( low-carbohydrate diet ;LCD)
・健康な低炭水化物食(healthy LCD;HLCD)
・不健康な低炭水化物食(unhealthy LCD;ULCD)
・経験的食事性炎症パターン(empirical dietary inflammatory pattern;EDIP)
・経験的食事性高インスリン血症指数(empirical dietary index for hyperinsulinemia ;EDIH)
が含まれます。※ 最下段の補足も参照。
これらは4年ごとに実施された食物摂取頻度調査票により評価され、12年間の平均値が算出されました。
本研究における11分類への当てはめは、対象者をどれか一つのグループに排他的に分類するのではなく、一人ひとりの食物摂取頻度調査(FFQ)データに対し、11種類の独立した採点アルゴリズムをすべて同時に適用して、各自の食事内容に11パターンの「適合スコア(点数)」をそれぞれ算出する方式で行われています。 - C(比較対照):各食事パターンの遵守スコアにおける、最も高いグループ(第5五分位)と最も低いグループ(第1五分位)の比較、および1標準偏差増加ごとの比較。解析にあたっては、不健康な食事パターンを示すスコア(uPDI、LCD、ULCD、EDIP、EDIH、超加工食品)を反転させ、すべての指標において数値が高いほど健康的な食習慣であることを意味するように統一して比較を行いました。
- O(アウトカム):1年あたりの自己報告による体重変化(Kg/年)および新規の肥満(BMI30以上)の発症リスクを測定しました。
11の食事パターン比較が暴いた数値的真実
体重増加
更年期前後12年間において、対象となった女性たちの平均体重増加は年間0.80Kg(標準偏差1.00キログラム)に達しました。340122人年の総追跡期間中に、合計5214人が新たに肥満を発症しました。交絡因子を厳密に調整した多変量解析により、各食事パターンの効果が極めて具体的な数値として明らかになりました。
年間の体重増加の抑制に最も強力な関連を示したのは、低インスリン食(EDIHスコアの反転値)でした。最も低インスリン食を遵守していたグループは、最も遵守していなかったグループと比較して、年間の体重増加が平均で0.28キログラム有意に抑制されていました。95%信頼区間は-0.30から-0.26Kg/年です。その他の主要な食事パターンを遵守したグループにおける年間体重変化の差は以下の通りでした。
- プラントベース食事(PDI)を遵守したグループでは、年間-0.23Kgでした。
- 健康なプラントベース食事(hPDI)では、年間-0.08Kgでした。
- 不健康なプラントベース食事(uPDI)では、年間-0.02Kgでした。
- DASH食では、年間-0.19Kgでした。
- 地中海食では、年間-0.15Kgでした。
- プラネタリーヘルス食(PHDI)では、年間-0.17Kgでした。
- 健康な低炭水化物食(HLCD)では、年間-0.06Kgでした。
逆に、不健康な低炭水化物食(ULCD)は年間0.21Kg、食事性炎症パターン(EDIP)は年間0.20Kg、超加工食品(UPF)は年間0.11Kgの体重増加と関連していました。
肥満発症
新規の肥満発症リスクの評価においては、プラネタリーヘルス食(PHDI)が最も優れた保護効果を示しました。最も実践レベルが高かったグループは、最も低かったグループに比べて、肥満の発症リスクが54%低下していました。ハザード比は0.46、95%信頼区間は0.42から0.51です。次いで優れた保護効果を示したのが低インスリン食であり、リスクを49%低下させました。ハザード比は0.51、95%信頼区間は0.46から0.56です。
これに対し、従来の健康的な低炭水化物食(HLCD)では肥満リスクの有意な低下は認められませんでした。ハザード比は0.99、95%信頼区間は0.91から1.08です。
代謝・分子生物学的メカニズムから読み解く体重増加の機序
本論文に示された各食品グループと食事パターンの詳細な相関分析から、更年期女性における体重増加と肥満発症の背景にある分子代謝経路が浮かび上がります。
食事性高インスリン血症指数(EDIH)
最も強力に体重増加を促す指標となった食事性高インスリン血症指数(EDIH)は、赤身肉や加工肉、ナトリウム、フライドポテト、ジャガイモ、ピザ、クリームスープなどと強い正の相関を示しました。
これらの食品群が慢性的な高インスリン血症を誘導する生物学的なルートは、その栄養素組成によって明確に異なります。
フライドポテトやジャガイモ、ピザといった高糖質の食品群は、急激な食後血糖上昇を引き起こし、膵臓のベータ細胞からグルコース応答性のインスリン過剰分泌を直接誘導します。
これに対し、赤身肉や加工肉は炭水化物をほとんど含まないため急激な血糖上昇はもたらしません。しかし、肉類に豊富に含まれる特定の分岐鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)やアルギニンなどのアミノ酸は、細胞内でのミトコンドリア代謝を活性化させてATP/ADP比を上昇させ、K-ATPチャネルの閉鎖を伴う膜の脱分極を引き起こすことで、血糖上昇を介さずにインスリン分泌を直接強力に刺激します。さらに、動物性製品に多く含まれる飽和脂肪酸やヘム鉄は細胞レベルの慢性炎症を誘発し、インスリン受容体基質1(IRS-1)の下流シグナルを阻害して持続的なインスリン抵抗性を生み出します。その結果、体は正常な代謝恒常性を維持するために、代償的にインスリン分泌を常に高く維持せざるを得なくなります。
ナトリウムに関しても血糖値を直接変動させる機能はありませんが、小腸粘膜におけるナトリウム依存性グルコース輸送体1(SGLT1)の活性を最大化させ、同時に摂取した炭水化物の吸収速度を高めて間接的に食後インスリン分泌を押し上げる作用があります。これに加え、慢性的な高食塩摂取はインスリン感受性を直接低下させることが報告されています。
持続的な高インスリン状態は、脂肪細胞における脂質蓄積シグナルを恒常的に活性化し、肝臓における新規脂質合成を強力に促進します。これに加えて末梢組織でのエネルギー熱産生を抑制することで、更年期移行期の身体組成を内臓脂肪蓄積型へと誘導していきます。
プラネタリーヘルス食(PHDI)
これに対し、肥満リスクを最も強力に抑制したプラネタリーヘルス食(PHDI)は、植物性タンパク質、ナッツや豆類、不飽和油、果物、全粒穀物の摂取量と極めて強い正の相関を示しました。これらの植物性食品群は、インスリン分泌を低く穏やかに保つ効果に優れているだけでなく、抗酸化作用や抗炎症作用を持つフィトケミカルを豊富に含んでいます。
食事性炎症パターン(EDIP)と体重増加の関連
さらに興味深い分子機序として、食事性炎症パターン(EDIP)と体重増加の関連が、更年期ホルモン療法を使用している女性において有意に大きかったことが明らかになりました。外因性のホルモン製剤は体内での炎症経路や脂肪蓄積の調節機能に影響を与えるため、食事から誘発される慢性炎症による代謝機能不全をさらに増幅させている可能性が生物学的に考えられます。
タンパク質供給不足は除脂肪体重の減少を助長
また、不健康なプラントベース食事(uPDI)に関する解析では、極めて示唆に富む代謝的なトレードオフが観察されました。この食事パターンはナッツや豆類、さらには乳製品や肉類などのあらゆる動物性製品を制限するため、総タンパク質摂取量が著しく低下します。更年期移行期には、加齢とエストロゲンの低下にともなう骨格筋量の減少が起こりやすいですが、タンパク質供給の不足はこの除脂肪体重の減少を助長する危険性があります。事実、本研究において総タンパク質摂取量を統計的に調整したところ、不健康なプラントベース食事と体重変化の関係は逆転し、体重増加と明確な正の関連を示すようになりました。これは、単純な体重計の数値のみを追い求める極端な食事制限が、体脂肪の増加を隠蔽しつつ必要な筋肉量を削ぎ落としてしまうという、更年期特有の代謝的罠を表しています。
本研究の限界と批判的吟味
本研究は多大な貢献を果たしているものの、いくつかの重要な限界があります。
第一に、生体電気インピーダンス法や二重エネルギーエックス線吸収測定法(DXA)などによる詳細な身体組成データが欠如している点です。自己報告による体重測定のみに依存しているため、増減した体重の内訳が筋肉なのか脂肪なのかを厳密に区別できておらず、更年期に重要な筋肉量の維持状況を解釈する上での課題が残ります。
第二に、食物摂取頻度調査票(FFQ)による食事の評価には、記憶の曖昧さや過小評価に起因する測定誤差が一定程度含まれることが避けられません。
第三に、更年期の不快な身体症状や、時間の経過に合わせた正確な性ホルモン濃度のデータが利用できなかったため、ホルモン変動の程度が食事と肥満の関連にどのように介在しているのかを精緻に検証するには至っていません。
最後に、被験者の構成が主に米国の白人女性医療従事者であるため、人種や社会経済的、文化的な背景が大きく異なる他の集団、特にアジア人の更年期女性に対して、これらの知見をそのまま一般化できるかどうかについては慎重な検討が必要です。
明日から実践すべき更年期体重管理の最適解
この研究成果に基づき、更年期の健康的な体重維持のために今すぐ実践できる具体的なアクションプランは以下の通りです。
第一に、インスリンを刺激しない炭水化物の選択を徹底することです。フライドポテトや精製されたパン、白米、加糖飲料、高塩分スナックの摂取を減らし、代わりに血糖上昇が穏やかな全粒穀物(玄米やオートミールなど)や、食物繊維が豊富な生の果物を主食の代替として取り入れてください。
第二に、タンパク質の供給源をスマートに置き換えることです。赤身肉や加工肉の過剰な摂取を避け、その代わりに大豆製品(豆腐や納豆)、レンズ豆などの豆類、ナッツ類から良質な植物性タンパク質を確保してください。これにより、高インスリン血症のリスクを抑えつつ、筋肉量を維持するために必要なアミノ酸を安全に摂取できます。
第三に、脂質の質を転換することです。バターなどの飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を避け、オリーブオイルやアボカド、ナッツ類に含まれる良質な一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸を日々の調理や食事に活用してください。
更年期という激動の時期を健やかに過ごし、その後の人生を支える心血管系および代謝系の健康を守るために、持続可能で質の高い食事パターンへの転換を今日から始めてみてください。
参考文献
Xia T, Haslam DE, Eliassen AH, Manson JE, Sun Q, Willett WC, Bhupathiraju SN, Zhang C, Hu FB. Optimal Dietary Patterns for Lower Weight Gain and Risk of Obesity Surrounding Menopause. JAMA Network Open. 2026;9(5):e2613102. doi:10.1001/jamanetworkopen.2026.13102
補足:11の食事パターンにおける分類基準と具体的なスコアリングシステム
更年期女性の体重管理における食事の効果を評価するため、本研究では食物摂取頻度調査票(FFQ)のデータに基づき、食習慣を11の具体的な食事パターンに分類してスコア化しています。それぞれの食事パターンがどのように定義され、点数化されているのかを項目ごとに解説します。
1. プラントベース食事指数(plant-based diet index;PDI)
プラントベース食事指数(PDI)は、動物性食品を減らし、植物性食品を増やす食習慣を評価する指標です。食品は、健康的な植物性食品、不健康な植物性食品、動物性食品の3つのカテゴリー(計18の食品グループ)に分類されます。
スコアリング方法では、各食品グループの摂取量を5つのグループ(五分位)に分けます。植物性食品(健康的、不健康的なものの両方)については、摂取量が多いほど高い点数(1点から5点)を与え、動物性食品については、摂取量が多いほど低い点数(5点から1点、すなわち逆スコア)を与えて合計します。
2. 健康的なプラントベース食事指数(healthy PDI;hPDI)
健康的なプラントベース食事指数(hPDI)は、植物性食品の中でも、特に健康に良いとされる食品の摂取を重視する指標です。
スコアリング方法では、健康的な植物性食品(全粒穀物、果物、野菜、ナッツ類、豆類、植物性油、お茶やコーヒーなど)の摂取量が多いほど高い点数(1点から5点)を与えます。一方で、不健康な植物性食品(精製穀物、ジャガイモやフライドポテト、加糖飲料、スイーツなど)および動物性食品(肉類、乳製品、卵、魚介類、動物性脂肪など)の摂取量が多いほど、低い点数(5点から1点)を与えて合計します。
3. 不健康なプラントベース食事指数(unhealthy PDI;uPDI)
不健康なプラントベース食事指数(uPDI)は、植物性食品を中心としつつも、品質の低い植物性食品を多く摂取している状態を評価する指標です。
スコアリング方法では、不健康な植物性食品(精製穀物、ジャガイモ、加糖飲料、スイーツなど)の摂取量が多いほど高い点数(1点から5点)を与えます。逆に、健康的な植物性食品(全粒穀物、果物、野菜など)およびすべての動物性食品の摂取量が多いほど、低い点数(5点から1点)を与えて合計します。
4. 地中海食スコア(Mediterranean diet;MedDiet)
地中海食スコアは、地中海地方の伝統的な食習慣への遵守度を評価する指標です。本研究では代替地中海食(AMED)スコアが用いられています。
スコアリング方法では、9つの構成要素を評価します。好ましいとされる食品群(野菜、果物、ナッツ類、全粒穀物、豆類、魚類、一価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の比率)の摂取量が、集団の中央値以上の場合は各1点が与えられます。避けるべきとされる食品群(赤身肉や加工肉)は、摂取量の中央値未満の場合に1点が与えられます。アルコールについては、適量(1日に5グラムから15グラム)を摂取している場合に1点が与えられます。これらを合計し、0点から9点の範囲で算出します。
5. DASH食スコア(Dietary Approaches to Stop Hypertension)
DASH食は、高血圧を予防・改善するために開発された、塩分を抑えミネラルを豊富に摂る食事パターンです。
スコアリング方法では、8つの食品群を評価します。好ましいとされる5つのグループ(果物、野菜、ナッツおよび豆類、全粒穀物、低脂肪乳製品)については、摂取量が多いほど高い点数(1点から5点)を与えます。逆に、避けるべきとされる3つのグループ(ナトリウム、赤身肉および加工肉、加糖飲料)については、摂取量が多いほど低い点数(5点から1点)を与えて合計し、8点から40点の範囲でスコア化します。
6. プラネタリーヘルス食事指数(Planetary Health Diet Index;PHDI)
プラネタリーヘルス食事指数(PHDI)は、EAT-Lancet委員会が提唱した、人間の健康増進と地球環境の持続可能性を両立させるための植物中心の食事モデル(プラントフォワード)への遵守度を評価します。
スコアリング方法では、全粒穀物、果物、野菜、ナッツ類、豆類などの植物性食品、および適量の不飽和脂肪酸の摂取量を推奨基準に照らし合わせて得点化します。赤身肉や精製穀物、添加された砂糖などの過剰摂取に対してはペナルティ(減点)が適用されるシステムになっており、環境負荷を抑えつつ栄養学的に優れた食習慣ほど高得点になります。
7. 低炭水化物食スコア(low-carbohydrate diet;LCD)
低炭水化物食スコア(LCD)は、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)における炭水化物の摂取エネルギー比率の低さを評価する指標です。
スコアリング方法では、炭水化物、タンパク質、脂質のそれぞれのエネルギー比率を10等分(デシル)に分類します。炭水化物の比率が最も低いグループに10点、最も高いグループに0点を与えます。タンパク質と脂質については、比率が最も高いグループに10点、最も低いグループに0点を与え、これらを合計して0点から30点の範囲で算出します。
8. 健康的な低炭水化物食スコア(healthy LCD;HLCD)
健康的な低炭水化物食(HLCD)は、炭水化物を制限しつつ、タンパク質や脂質の供給源として健康的な植物性食品を積極的に選択しているかを評価する指標です。
スコアリング方法では、炭水化物の比率が低いほど高い点数を与える点に加えて、植物性タンパク質および植物性脂質(不飽和脂肪酸)の摂取比率が高いほど高い点数を与えます。さらに、炭水化物の中でも精製穀物などの低品質な炭水化物を避け、全粒穀物などの高品質な炭水化物を選択しているかも評価に含まれます。
9. 不健康な低炭水化物食スコア(unhealthy LCD;ULCD)
不健康な低炭水化物食(ULCD)は、炭水化物を制限しているものの、動物性の脂質やタンパク質、および質の低い食品を多く選択している食習慣を評価します。
スコアリング方法では、炭水化物の比率が低いほど高い点数を与える点に加えて、動物性タンパク質および動物性脂質(飽和脂肪酸)の摂取比率が高いほど高い点数を与えます。また、炭水化物の制限にともない、高品質な穀物の摂取量が低下している状態が反映されます。
10. 経験的食事性炎症パターン(empirical dietary inflammatory pattern ;EDIP)
経験的食事性炎症パターン(EDIP)は、食事全体の炎症誘発ポテンシャルを定量化した指標です。
スコアリング方法では、体内の慢性炎症マーカー(C反応性タンパク、インターロイキン6、腫瘍壊死因子受容体2など)の血中濃度と、食物摂取頻度調査から得られた各食品グループの摂取量との関連性に基づいて定義されています。炎症を促進する食品グループ(赤身肉、加工肉、精製穀物、加糖飲料、トマトなど)や、炎症を抑制する食品グループ(お茶、コーヒー、緑黄色野菜、全粒穀物など)の計18グループに対し、それぞれに算出された重み付け係数を掛け合わせ、合算して算出されます。
11. 経験的食事性高インスリン血症指数(empirical dietary index for hyperinsulinemia ;EDIH)
経験的食事性高インスリン血症指数(EDIH)は、食習慣が体内のインスリン分泌(血中C-ペプチドおよびインスリン濃度)に与える影響を定量化した指標です。
スコアリング方法では、空腹時C-ペプチドなどの高インスリン血症指標と強く相関する18の食品グループを特定しています。インスリン分泌を促進しやすい食品グループ(赤身肉、加工肉、フライドポテト、ジャガイモ、ピザ、クリームスープ、加糖飲料など)や、分泌を抑えやすい食品グループ(果物、全粒穀物、緑黄色野菜、ワインなど)の摂取量に、それぞれの相関に基づく重み付け係数を乗じて合算し、スコアを算出します。
補足:超加工食品(UPF)の評価
食事パターンとは別に、食品の加工度を4段階に分類するNOVA分類に基づいて、超加工食品(加糖飲料、スナック菓子、大量生産されたパン、インスタント食品など)の摂取状況も評価されています。これは各個人の総エネルギー摂取量に占める超加工食品の割合、または1日のサービング数(摂取回数・量)によって定量化されています。


