身体活動

運動が若年男性の動脈スティフネスに与える多面的効果

はじめに 動脈スティフネス(arterial stiffness)は、血管壁の柔軟性が低下し、血圧変動に対する緩衝作用が弱まる状態を指します。簡単に言うと「動脈の硬さ」です。 この変化は、心不全や脳卒中、腎不全といった重篤な疾患の前駆状態で...
Digital Health

単一誘導心電図と人工知能による心不全予測

はじめに:心不全リスク層別化の課題 心不全(heart failure, HF)は世界的に増加しており、その罹患率や再入院率の高さから、公衆衛生上の重大な課題となっています。近年、HFの予防的介入が可能な薬剤が登場してきたにもかかわらず、ス...
睡眠

多面的な睡眠健康の定義と心臓代謝への影響

はじめに:睡眠健康のパラダイムシフト 心血管疾患の予防における生活習慣の重要性はすでに広く認識されていますが、その中で「睡眠」の役割が近年ますます注目されています。特にアメリカ心臓協会(AHA)は2022年、「Life’s Simple 7...
脂質代謝

無症候性アテローム性動脈硬化症と早期予防戦略の新展開

はじめに:心血管疾患予防のパラダイムシフト 現代医学において、心血管疾患(CVD)は依然として世界の主要な死亡原因です。近年の研究は、臨床症状が現れる以前の段階である「無症候性アテローム性動脈硬化症(subclinical atherosc...
脂質代謝

悪玉LDLにApo(a)が結合した超悪玉=リポタンパク(a)(Lp(a))

はじめに:血中脂質の運搬体は、ただの「容器」ではない 血中に存在する脂質は、水に溶けないという性質上、運搬のためにタンパク質と複合体を形成して「リポタンパク」として存在します。これらのリポタンパクは、まるで細胞間を行き交う宅配便のようにコレ...
心臓血管

前立腺肥大症と心血管疾患のあいだに潜む因果関係―双方向メンデルランダム化解析―

はじめに:前立腺肥大症と心血管疾患 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia: BPH)は、高齢男性の健康問題として広く知られていますが、単なる排尿障害にとどまらず、近年では心血管疾患(cardiovascul...
泌尿器科

良性前立腺肥大症と心血管疾患発症リスク;全国保険データベース解析

はじめに:泌尿器疾患と心血管疾患の意外な接点 良性前立腺肥大症(BPH)は、男性の加齢とともに高頻度にみられる疾患であり、排尿障害や夜間頻尿といった下部尿路症状(LUTS)を呈します。その病態には、前立腺組織の過形成、ホルモン環境の変化、慢...
心臓血管

LDLの血管内皮下侵入メカニズム

はじめに:LDLとは何か、なぜ血管壁に入るのか LDL(Low-Density Lipoprotein)は、肝臓で生成され、血中を通じて全身の細胞へコレステロールを供給するリポタンパク粒子です。直径22〜27nmの球状構造を持ち、その表面に...
心臓血管

若年期に始まる動脈硬化

はじめに:動脈硬化は“老化”の問題ではない 動脈硬化という言葉から、多くの人が思い浮かべるのは高齢者の病気かもしれません。しかし、2002年の古い研究ではありますが、Pathobiological Determinants of Ather...
心臓血管

冠動脈疾患のパラダイムシフト:虚血からアテロームへ

はじめに:従来の限界と新たな視点 冠動脈疾患(CAD)は、依然として世界で最も多くの命を奪っている疾患のひとつです。2025年現在、CADは毎年およそ900万人の死者を出しています。冠動脈疾患(CAD)に対する現代医学のアプローチは、長年に...