心臓血管

心不全患者において下大静脈拡張はうっ血のサインだが、トップアスリートではよくあることらしい。

はじめに 運動生理学において、「アスリートの心(athlete’s heart)」は、長期的な持久的トレーニングにより生じる心筋の構造的・機能的な適応を指す概念として広く知られています。左室の内径拡大、壁厚増加、心拍出量の増大はその代表的変...
中枢神経・脳

不整脈発症後、認知症の進行が加速する:16年間の縦断コホート研究

はじめに 加齢とともに増加する心房細動などの不整脈は、脳卒中や認知症といった重大な転帰と関連していることが数多くの研究で示されています。なかでも、心房細動が脳血流の変動や微小塞栓を介して認知機能に影響を及ぼす可能性が注目されてきました。こち...
心臓血管

タコツボ心筋症の臨床的実態:Update

はじめに:良性とは言い難いたこつぼ型心筋症の実像 たこつぼ型心筋症(Takotsubo cardiomyopathy)は、感情的あるいは身体的ストレスを契機として一過性の左室壁運動異常を呈する心疾患であり、しばしば「ストレス心筋症」あるいは...
睡眠

睡眠不足が意思決定に与える影響:認知プロセスの解明

はじめに 睡眠不足が意思決定に悪影響を及ぼすことは広く知られていますが、その背後にある認知メカニズムは未解明な部分が多く、「認知のブラックボックス」と呼ばれています。つまり、多くの研究では表面的な行動指標(例:選択肢の比率、正答率)に頼るこ...
糖尿病関連

AGEの組織蓄積とAGE-RAGE相互作用は非糖尿病でも、全てのライフステージで影響を与えうる

はじめに 2014年に発表されたこの総説論文は、タンパク質糖化と酸化ストレスの相互作用、および栄養がこれらのプロセスに及ぼす影響について、ライフコース全体を通じて包括的に検討しています。特に、糖尿病だけでなく正常血糖状態における糖化の重要性...
糖尿病関連

2型糖尿病患者における血圧管理の新戦略:DASH4D食とナトリウム制限 

はじめに:食事療法は薬に勝るか? 2型糖尿病(T2D)と高血圧は、しばしば同時に存在し、心血管イベントの主要な危険因子となります。T2D患者の約8割は高血圧を併発しており、その管理は動脈硬化性疾患や脳卒中、腎症予防において極めて重要です。し...
食事 栄養

若年女性の「原因不明の不調」と魚介類の摂取

はじめに:曖昧な不調と現代女性のこころとからだ 倦怠感、手足のしびれ、息切れ、下肢のだるさ、胃の張り、集中力低下など、明確な器質的疾患の裏付けがないにもかかわらず日常生活に支障をきたすような「原因不明の身体的訴え(unidentified ...
ED

分娩時低酸素性合併症に対するシルデナフィル投与の効果

はじめに 分娩中、子宮収縮による一過性の胎盤血流低下は、胎児に低酸素性ストレスをもたらす可能性があります。特に胎盤機能が低下している妊婦では、収縮と収縮の間の再灌流が不十分となり、胎児の酸素供給が損なわれることがあります。このような低酸素性...
ED

低用量タダラフィル(5mg)1日1回服用 の服薬アドヒアランス

はじめに:ED治療におけるアドヒアランスの重要性 勃起不全(erectile dysfunction:ED)は、性機能の低下だけでなく、心理社会的なQOLにも深刻な影響を及ぼす疾患です。その治療において、PDE-5阻害薬は第一選択肢の一つで...
糖尿病関連

GLP-1受容体作動薬:脂肪も減るが筋肉や骨も減る。対策必須の栄養戦略、統合的管理。

はじめに:GLP-1療法の広がりと課題 近年、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は肥満治療のパラダイムを大きく変えつつあります。セマグルチド(週2.4mg)やチルゼパチド(週15mg)は、臨床試験においてプラセボと比較してそれぞれ12...