生活環境

マイクロプラスチックと人体:見えない侵入者がもたらす健康影響

はじめに 私たちの生活を支えるプラスチックは、今やあらゆる環境に浸透しています。2020年の世界のプラスチック生産量は4億3500万トンに達し、2000年の約2倍に増加しました。さらに2040年には70%の増加が見込まれており、その影響は環...
中枢神経・脳

睡眠中の頭部姿勢と神経変性疾患の関連性 ― グリンパ系と重力の視点から

はじめに 神経変性疾患(Neurodegenerative Disease: NDD)は、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)などを含み、高齢社会における大きな課題です。近年...
食事 栄養

胎児期から幼少期にかけての砂糖制限と成人期の心血管疾患リスク

序論 砂糖摂取の増加は、肥満、糖尿病、心血管疾患といった生活習慣病の主要な原因のひとつです。現在の各国の栄養ガイドラインでは、「フリーシュガー(砂糖や添加糖)の摂取はなるべく控えるべき」とされています。世界保健機関(WHO)は総エネルギーの...
中枢神経・脳

強化降圧療法で脳卒中リスクは上がるのか?下がるのか?

はじめに 脳卒中は世界的に依然として主要な死亡・障害原因の一つであり、特に東アジア地域では高い発症率を示しています。その最大の修正可能な危険因子は高血圧であり、収縮期血圧(SBP)の管理が脳卒中予防の鍵を握ります。しかし、至適な降圧目標値に...
心臓血管

仰臥位での睡眠は狭心症リスクを上げる?

はじめに 睡眠は心血管の健康を左右する重要な生活因子であり、睡眠時間や睡眠の質が動脈硬化や心筋梗塞、心不全のリスクに影響することは広く知られています。しかし「どの姿勢で眠るか」が心臓に与える影響については、ほとんど検証されていません。今回紹...
がん、悪性腫瘍

身長が高いとがんになりやすい?男性のがんリスクが高いのは、高身長のせい?

はじめに 男性は多くの癌種において女性より罹患リスクが高いことが知られています。喫煙や飲酒、職業曝露といった環境要因の寄与は従来から強調されてきましたが、実際には環境因子が乏しい癌種においても一貫して男性優位の発症率が観察されてきました。こ...
生活環境

夜間光曝露と心血管疾患リスク

序論:夜の光が心臓を脅かす時代へ 私たちは夜でも街灯、スマートフォン、室内照明に囲まれ、かつてないほど「暗い夜」を失いつつあります。Windredらの研究は、こうした夜間の人工光曝露(light exposure at night, LAN...
心拍/不整脈

抗炎症薬によるアブレーション後心房細動再発抑制

序論:アブレーション後の最大の課題 心房細動(AF)は世界で最も多い持続性不整脈であり、脳卒中、心不全、全死亡率を高めることが知られています。カテーテルアブレーションは有効なリズムコントロール手段として確立していますが、その後の再発は依然と...
ポジティブ心理学

心拍変動バイオフィードバック(HRVB)と精神的ストレス時の冠血流予備能

背景と研究の意義 心理的ストレスが冠動脈疾患(CAD)の発症・増悪に深く関わることは広く知られています。特に、精神的ストレス誘発心筋虚血(MSIMI)は、CAD患者の心血管死や非致死的心筋梗塞のリスクを有意に高めると報告されています。従来、...
血圧

強化降圧療法が網膜微小血管に及ぼす影響

はじめに 高血圧は「沈黙の殺人者」と呼ばれ、心血管系だけでなく全身の微小循環に影響を与えます。その中でも網膜は、脳や腎臓と類似した血管構造を持ち、微小血管病変を可視化できる「窓」として注目されています。これまで降圧療法が網膜血管構造に影響を...