心拍/不整脈

日本における山岳遭難死の実態 心臓突然死の頻度は?

はじめに  登山ブームが定着した日本では、年間およそ1,100万人がレクリエーション目的で山岳地域を訪れていると報告されています(2015年時点)。その一方で、毎年300人以上が命を落としており、その大半は警察による山岳救助の対象者です。本...
中枢神経・脳

下位脳神経症候群:多彩な神経症候

はじめに 脳神経のうち、特に下位脳神経(Lower Cranial Nerves, 以下LCN)である第IX〜XII脳神経(舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経)は、咀嚼・嚥下・音声・味覚・自律機能など、生命維持と生活の質に直結する多彩な機...
医療全般

警察拘束下における急性死:興奮性せん妄 Excited Delirium Syndrome(ExDS)

はじめに 2025年某日某所、深夜に裸で叫ぶ30代女性が目撃され、警察官により保護された直後に意識を消失し、数時間後に死亡が確認されました。この事例は、その異常行動と突発的な死の経過から、「興奮性せん妄;Excited Delirium S...
消化器科

揚げ物が身体に悪いメカニズム;腸内細菌叢、肥満・心代謝疾患の関連

はじめに 日常的に食卓に並ぶ「揚げ物」は、その手軽さと嗜好性の高さから多くの人々に親しまれています。しかしその一方で、心血管疾患や糖尿病などの生活習慣病との関連が繰り返し指摘されてきました。これまでの疫学研究は、揚げ物摂取と肥満やメタボリッ...
心臓血管

虚血性心疾患を有する人は富士山登頂を目指せるか?

はじめに:標高3776mの挑戦に心臓はどう応えるか 富士山。標高3776mという日本最高峰の頂を目指す行為は、多くの人にとって精神的な達成であると同時に、身体にとっても大きな挑戦です。特に虚血性心疾患(CAD:冠動脈疾患)を抱える人々にとっ...
心臓血管

虚血性心疾患患者の登山

はじめに 標高2500mを超える高地は、美しい風景の裏に、心血管系にとって予想以上に過酷な生理的挑戦を隠しています。特に、すでに冠動脈疾患(CAD)を有する患者にとっては、減圧・低酸素・寒冷といった複合的なストレスが、潜在する虚血リスクを顕...
糖尿病関連

セマグルチドやチルゼパチドなど、インクレチン系抗肥満薬の副作用管理

はじめに 近年、セマグルチドやチルゼパチドといったインクレチン系薬剤は、肥満やその合併症(2型糖尿病、脂質異常症など)の治療において画期的な進歩をもたらしています。しかし、これらの薬剤には消化器症状を中心とする副作用が伴い、適切な管理が求め...
Digital Health

スマートトイレによる便画像解析

「便スキャン」搭載便器「ネオレストLS-W/AS-W」 TOTO株式会社は、新機能「便スキャン」を搭載したウォシュレット一体形便器「ネオレストLS-W」「ネオレストAS-W」を2025年8月1日(金)から日本国内で発売すると発表しました。め...
医療全般

体脂肪率はBMIより優れた指標:若年成人における身体組成と死亡率 

はじめに 日常診療で最もよく使われる身体指標の一つが、体格指数(BMI: Body Mass Index)です。簡便で費用がかからず、各種ガイドラインや健康診断にも広く組み込まれていることから、医療者や一般の人々にとっては馴染み深い指標とい...
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SGLT2阻害薬と動脈硬化

はじめに:糖尿病薬が心血管治療の主役に躍り出る 近年、SGLT2阻害薬(SGLT2i)は、単なる血糖降下薬という枠を超えて、心血管保護薬としての地位を確立しつつあります。もともとは2型糖尿病(T2DM)の治療薬として開発されたこの薬剤群が、...