女性医療

妊娠関連静脈血栓塞栓症の臨床像と転帰

はじめに 妊娠は生理的変化によって凝固能が高まる状態であり、静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism, VTE)のリスクが非妊娠時に比べて6〜7倍に上昇するとされています。VTEは、肺血栓塞栓症(PE)と深部静脈血栓症(...
中枢神経・脳

心血管リスク因子はどのくらい認知症発症と関連するのか?「80歳を超えてからでは遅い」という現実

はじめに  認知症の発症には加齢や遺伝的素因だけでなく、生活習慣に基づく修正可能な危険因子の関与が指摘されてきました。その中でも特に「中年期の高血圧・糖尿病・喫煙」は、血管性病変を介して脳機能に影響を与えるとされ、近年ではアルツハイマー病と...
泌尿器科

男性の下部尿路症状(LUTS)の包括的理解と治療戦略 JAMA(2025)「Lower Urinary Tract Symptoms in Men: A Review」

下部尿路症状(LUTS)の疫学的意義と臨床的影響 男性の加齢に伴い出現する下部尿路症状(lower urinary tract symptoms, LUTS)は、単なる加齢現象として見過ごされがちですが、その背後には前立腺肥大症(benig...
Digital Health

人工知能(AI)は心臓専門医を代替するのか?

はじめに:議論の枠組み 人工知能(AI)の進化は、循環器診療に大きな波をもたらしています。とくに生成AIやマルチモーダルAIの登場により、心電図や画像診断、治療アルゴリズム、さらには医学教育の根幹までもが変わろうとしています。欧州心臓病学会...
がん、悪性腫瘍

がんサバイバーに潜む心血管死亡リスク:日本全国データに基づく解析

はじめに がんの治療成績が向上し、生存期間が大きく延伸する中で、「がんサバイバー」の長期的な健康リスクへの関心が高まっています。中でも心血管疾患(Cardiovascular Disease, CVD)は、がん治癒後に現れる“第2の脅威”と...
Digital Health

人工知能が革新する循環器診療

はじめに:AIと心血管医療の接点 近年、人工知能(AI)の進歩が急速に進み、心血管医療にも変革の波が押し寄せています。これまで医師の熟練によって支えられていた診断やリスク評価、画像読影、さらには治療選択にまで、AIは精度と効率性の面で大きな...
食事 栄養

ダイエットとしてのファスティング(断食)、どのやり方が最も優れているのか?RCT99件を統合したメタ解析

はじめに 現代の食環境では、飽食こそが生活習慣病の温床となっています。これに対抗する手段として、古来から断食が注目されてきました。中でも近年、科学的文脈で再評価されているのが「間欠的断食(intermittent fasting:IF)」で...
血圧

コントロールに難渋する高血圧(抵抗性高血圧)の評価と管理

抵抗性高血圧の定義と疫学的意義 抵抗性高血圧(Resistant Hypertension: RHTN)は、最大耐用量またはほぼ最大耐用量の3種類の降圧薬(うち1つは利尿薬)を使用しても目標血圧を達成できない状態、あるいは4種類以上の降圧薬...
心拍/不整脈

アスリートの最大心拍数と有酸素運動:心血管と神経系の適応

はじめに:なぜ最大心拍数の変化が重要なのか 最大心拍数(Maximum Heart Rate:MHR)は、運動強度を定量化し、トレーニングの個別化を進めるうえで不可欠な指標です。従来、MHRは「220−年齢」という単純な算出式に基づいて推定...
生活環境

光曝露と心臓迷走神経活動の関係

はじめに ヒトの生理と行動は光の影響を強く受けています。視覚的刺激としての光に加えて、光は内分泌系や自律神経系を介して睡眠、情動、覚醒状態をも制御します。近年、特に注目されているのが「光曝露による心臓迷走神経活動(cardiac vagal...