脂質代謝

慢性腎臓病(CKD)における脂質異常症と心血管リスク

はじめに 慢性腎臓病(CKD)は、単なる腎機能の低下にとどまらず、心血管疾患(CVD)発症の重要な温床として広く認識されています。特に、脂質異常症の特徴とその管理がCKD患者の予後を大きく左右することが、近年の研究により明らかになってきまし...
中枢神経・脳

頸動脈狭窄治療における個別化医療の新たな展望:ECST-2試験2年間中間結果

はじめに 頸動脈狭窄に対する血行再建術(carotid endarterectomy: CEAまたはcarotid artery stenting: CAS)は、30年以上前のランダム化比較試験(RCT)の成果に基づき、長らく脳卒中予防戦略...
中枢神経・脳

心房細動アブレーションで認知症予防;拍動とグリアリンパ系(glymphatic system)

はじめに  心房細動(AF)は、脳卒中や死亡のリスク要因として知られていますが、近年は脳卒中がなくても認知症や軽度認知障害のリスクを上昇させることが報告され、臨床上の注目が高まっています。また、AFが全原因性認知症や血管性認知症のみならず、...
食事 栄養

塩分と血圧の深い関係

はじめに ナトリウム(Na)は生命維持に不可欠な陽イオンであり、その恒常性維持は生体内の電解質バランス、細胞外液量(ECF)、さらには血圧に直結しています。EllisonとWellingは、腎臓によるNa排泄制御を中心に、皮膚や免疫系などの...
心拍/不整脈

ペースメーカー植込みを要した元アスリート:持久系アスリートと徐脈性不整脈

はじめに:アスリートの徐脈は本当に“生理的”か? 運動生理学の教科書において、アスリートに見られる徐脈や軽度の房室(AV)ブロックは、心臓が高い効率をもって拍出を担う結果としての「良性の適応」と記載されています。特に持久系スポーツにおいては...
心拍/不整脈

アスリートの徐脈は安全なのか? 潜在するリスク

はじめに 長期間にわたるスポーツ活動、特に持久系スポーツは、トレーニングを受けていない一般の人々では異常とされる心電図パターンを引き起こすことが知られています。中でも、洞徐脈や房室(AV)ブロックなどの徐脈性不整脈は、アスリートにおいて頻繁...
心臓血管

食塩・ナトリウム摂取量と心血管疾患、血圧の関連を示した臨床試験

疫学研究(コホート研究)の知見 疫学研究、特に前向きコホート研究では、食塩・ナトリウム摂取量と心血管疾患リスクの関連が比較的一貫して示されています: Strazzulloらによる13の前向き研究(約17.7万人)のメタ分析では、高い塩分摂取...
医療全般

過剰な食塩摂取を避けるべきだが、個人の努力では難しい

はじめに:食塩は「白い毒」か、それとも必要不可欠な栄養か 食塩(NaCl)は人類にとって不可欠な栄養素であり、文化や歴史の中でその重要性が語られてきました。しかし現代においては、この必須ミネラルの「過剰」が深刻な健康問題を引き起こしています...
中枢神経・脳

低亜鉛、銅、マンガン摂取と抑うつ・不安症状の関連:日本の労働者を対象とした横断研究

はじめに:心の健康とミネラル摂取の新たな接点 うつや不安といった精神疾患は、近年ますます社会的関心が高まっている健康問題です。特に労働世代においては、精神的不調が労働生産性の低下や職場離脱の原因となり、個人のみならず組織や社会全体への影響が...
食事 栄養

心不全患者における亜鉛欠乏と死亡リスク

はじめに:見過ごされてきたミネラルが予後を左右する? 心不全(heart failure:HF)は世界中で主要な死因のひとつであり、その罹患率と医療負担は年々増加しています。特に5年生存率は50〜75%と依然として厳しい状況が続き、管理の最...