夜間に足が攣る!!新たな予防選択肢

医療全般

夜間の脚の痙攣(Nocturnal Leg CrampsNLC)、こむらがえり、有痛性筋痙攣

深夜、ふいに襲ってくる強烈な痛み――脚の痙攣で目覚めた経験はありませんか?夜間の脚の痙攣(Nocturnal Leg CrampsNLC)、こむらがえり、有痛性筋痙攣などと言われることが多いです。
調査によれば、成人の50~60%が一度はこの経験をし、その中の約20%は生活の質が大きく損なわれるほど深刻な症状を抱えているとされています。それでも、現時点でNLCを効果的に管理する治療、予防はほとんど確立されていません。
ストレッチをしたり、運動したり、芍薬甘草湯を服用したり。その他、マグネシウムやカルシウム拮抗薬の利用も試みられました。有効なこともあれば、そうでないこともある。効果は不確実です。


なぜ脚は痙攣するのか?


NLCの原因は明確に解明されていません。しかし、筋肉細胞内外のカルシウムの動きが重要な鍵を握ると考えられています。筋収縮はカルシウム濃度に依存しており、その制御が乱れると不随意な収縮、すなわち痙攣が起こります。夜間、特に体がリラックスしている状態では、筋肉が刺激に過敏になり、些細な神経の誤作動が痙攣を引き起こす可能性があります。

一方で、NLCが頻発する背景には、年齢や特定の代謝疾患、特定の薬剤使用が影響することもわかっています。しかし、根本的な治療法が欠如している現状では、症状の緩和を目的とした治療に留まっているのが現状です。

ビタミンK2:新たな治療選択肢



そんな中、ある研究成果が発表されました。中国の研究チームが、ビタミンK2(メナキノン7)によるNLC管理の可能性を探る臨床試験を行い、興味深い結果を報告しました。この試験では、65歳以上の高齢者199名を対象に、ビタミンK2(180μg)またはプラセボを8週間投与し、頻度、持続時間、重症度を比較しました。主要評価項目は、NLCの1週間あたりの平均頻度でした。

結果は目覚ましいものでした。ビタミンK2群ではNLCの頻度が週平均2.60回→0.96回にまで減少(プラセボ群は2.71回→3.63回)、症状の持続時間や痛みの重症度も有意に改善しました。
また、副作用は確認されず、安全性も高いことが示されました。
ビタミンK2が筋肉の過剰な収縮を抑制するメカニズムは完全には解明されていませんが、カルシウムイオンチャネルへの作用が関与している可能性があります。

ビタミンK2とは?


ビタミンK2は、これまで血液凝固や骨形成への関与が知られていました。特に骨粗鬆症や血管石灰化の管理に役立つという報告が相次いでいますが、筋肉の機能への影響についてはまだあまり研究されていません。

天然に存在するビタミン K には、フィロキノン(ビタミン K 1)とメナキノン類があります。栄養上とくに重要なものは、動物性食品に広く分布するメナキノン‒4(ビタミン K2)と納豆菌が産生するメナキノン‒7です。(メナキノン‒4相当量(mg)=メナキノン‒7(mg)×444. 7/649. 0)
一般成人は150 μg/日を目安量とされています。

詳しくは、
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316466.pdf
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」厚生労働省
p168 ビタミンK

こちらも参考になります。

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-k.html
ビタミンKの働きと1日の摂取量 健康長寿ネット


基本の食事、運動、睡眠、ストレス管理に加えてビタミンK2


夜間の脚の痙攣は、不快なだけでなく、日常生活の質を大きく損ないます。しかし、この研究結果が示すように、ビタミンK2が新たな治療選択肢となり得ます。

バランスの良い食生活や十分な睡眠、適度な運動、ストレッチ、ストレス管理に加えて、ビタミンK2を含む食品(納豆や一部の発酵食品)を日々の食卓に取り入れることを検討しましょう。そして、この研究のようにビタミンK2のサプリメント活用することも試す価値はあると思います。

参考文献

Tan J, Zhu R, Li Y, Wang L, Liao S, Cheng L, Mao L, Jing D. Vitamin K2 in Managing Nocturnal Leg Cramps: A Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2024 Oct 28:e245726. doi: 10.1001/jamainternmed.2024.5726. Epub ahead of print. PMID: 39466236; PMCID: PMC11581596.

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