身体の大きい動物ほど寿命は長くなり、安静時心拍数は遅くなる
研究者本川達雄先生によると、多くの動物のデータを調べてみると、動物の寿命は体重の1/4乗に,安静時心拍数は体重の-1/4乗に比例する そうです。
つまり、身体の大きい動物ほど寿命は長くなり、安静時心拍数は遅くなるということです。
例えば、
ネズミの心拍数は600回/分ほどで寿命は数年、
象の心拍数は30回/分ほどで寿命は70年ほど。
人間の心拍数は60-80回/分ほどで寿命は80-90年ほど。
因果関係はわかりませんが、安静時心拍数が速いから寿命が短い、遅いから長い、という可能性もあります。
心臓は常に動き続けている精密機械
人間の心拍数は60-80回/分ほどですから、人間の心臓は1日約10万回動いていることになります。
80年生きるとすると生涯で10万x365日x80年=29億2千万回。
一時も休むことなく、毎日毎日常に動き続けている精密機械です。
どんな機械でも経年劣化します。
通常作動回数が多いほど、劣化しやすくなります。心臓も例外ではないはずです。
少しでも、負担を減らして大事に使いたいものです。
心臓病と安静時心拍数
慢性心不全の患者さんのデータでは、安静時心拍数が速い人ほど死亡リスクが高く、遅い人ほどリスクが低いとするデータはたくさんあります。
例えば、
「75歳未満の慢性心不全の患者では安静時心拍数50/分台前半くらいが死亡リスクが低く、速くなるにつれリスクが上がる」
とする研究があります。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26046411
また、冠動脈疾患の患者さんでは、
「安静時心拍数62/分未満で死亡リスクが低く、83/分を超えると急激にリスクが高まる」
とする研究もあります。
このような心臓病の患者さんの場合は、安静時心拍数はゆっくりめに維持する方がベターなのです。心臓に病気があると、それだけ劣化しやすいという解釈もできそうです。
心臓病でない人と安静時心拍数
心臓病でない人の場合も安静時心拍数が高いことは心臓病罹患リスクの1つと考えられています。
心臓病ではない方でも、
安静時心拍数が高いほど、死亡リスクが高く、安静時心拍数が低いほどリスクも低いとする研究は複数あります。
それをメタ解析した論文も発表されています。
46研究のメタ解析で、1,246,203人の人が対象になっています。
結果のグラフの1つをお示しします。横軸が心拍数、縦軸が死亡リスク、あるいは心血管疾患による死亡リスクです。
メタ解析でも、安静時心拍数が高いほど、死亡リスクが高く、安静時心拍数が低いほどリスクも低くなっているのがわかります。安静時心拍数が10/分上がる毎に、死亡リスクが9%上がります。
このグラフの範囲では、安静時心拍数45/分が一番リスクが低くなっています。もっと遅い心拍数の情報はありません。
心拍数45/分だとちょっと遅い気がしますので、この結果は意外な感じもしました。
あなたの安静時心拍数はいくつくらいですか?
少しでも心配があるようでしたらご相談ください。
こちらの動画も参考にして下さい。