自分の安静時心拍数が、以前は60/分くらいだったのが、最近70/分くらい、、。
仮に、そのような状況だった場合、どう解釈すればよいのでしょうか?
当初健康であった中年男性における安静時心拍数と長期死亡率の関係
Relation of Heart Rate at Rest and Long-Term (>20 Years) Death Rate in Initially Healthy Middle-Aged Men
フランスの労働者で、明らかな心臓血管疾患のない中年男性(42-53歳)5,139人が対象の前向きコホート研究です。
安静時心拍数を測定して、20年間フォロー、その間、5年毎に心拍数を経時的に安静時心拍数を測定。
心拍数の変化により3つのグループに分けました。
① 減少グループ:4拍/分以上の減少
② 不変グループ:-4~+3拍/分
③ 増加グループ:4拍/分以上の増加
結果は、
①の心拍数が減少したグループは、変化のなかったグループ(②)に比べ、14%死亡リスクが減少しました。
③の心拍数が増加したグループは、19%死亡リスクが増加しました。
介入試験ではありませんので、因果関係はわかりません。
しかし、安静時心拍数を下げることの恩恵を期待させる結果です。
安静時心拍数は、健康のバロメーター
安静時心拍数は、容易に観察できる健康のバロメーターとも言えます。
安静時心拍数が経時的に増加傾向を呈するのなら、リスクが上がる可能性があり、心身や生活を見直してみる機会にすると良いでしょう。
生活の中の行動を変えて(運動などを継続的に行って)、安静時心拍数が経時的に減少傾向を呈するのなら、リスク軽減のサインと解釈しましょう。
(なお、急に極端に心拍数が減った時(例えば80→40/分)は、不整脈の可能性がありますのでご相談ください)
気になることがありましたらご相談ください。
【参考文献】
Jouven X, Empana JP, Escolano S, Buyck JF, Tafflet M, Desnos M, Ducimetière P. Relation of heart rate at rest and long-term (>20 years) death rate in initially healthy middle-aged men. Am J Cardiol. 2009 Jan 15;103(2):279-83. doi: 10.1016/j.amjcard.2008.08.071. Epub 2008 Nov 7. PMID: 19121452.