「怒り」はどのくらい身体へ影響を及ぼすのか?

ポジティブ心理学

スマートウォッチで心拍数を容易に観察することができます。
心拍数は主に、自律神経(交感神経、副交感神経)で調節されます。
現代人は、様々なストレスにより交感神経が亢進しすぎている傾向があります。
これを緩和することが、心身ともに健やかに過ごせる一つの秘訣です。

ストレスフルな環境では、「怒り」を感じることしばしば。

「怒り」はどのくらい身体へ影響を及ぼすのでしょうか。

喜び、悲み、怒り、恐怖、リラックスと血圧・心拍数

グラフは、被験者に喜び、悲み、怒り、恐怖、リラックスなことを想像してもらい、血圧、心拍数を測定した実験です。

縦軸が血圧(mmHg)、心拍数(拍/分)。

心拍数、血圧共に、怒りが最も上昇します。交感神経が高まります。

怒りは恐怖よりも強力な感情なんですね!

場面を想像しただけの実験ですから、本当に怒った場面にはもっともっと血圧も心拍数も上がることでしょう。

怒りで拡張期血圧(DBP)も上昇

もう1つの怒りの特徴は、拡張期血圧(DBP)が顕著に上がっていることです。

交感神経系が賦活するとアドレナリンが分泌されますが、これが主に収縮期血圧や心拍数を上げます。
怒りは、アドレナリンに加えて、ノルアドレナリンという物質も分泌されることで拡張期血圧も上がるのです。

それだけ、身体には特異的な感情なのですね。

怒りと病気

収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数が全て上がることで、心臓にも負担がかかります。
心臓病や血管疾患のリスクが高まるというデータはたくさんあります。

Outbursts of anger as a trigger of acute cardiovascular events: a systematic review and meta-analysis†
AbstractAim. Short-term psychological stress is associated with an immediate physiological response and may be associate...

例えば、この論文では

激しく怒ると

急性心筋梗塞 4.7倍
脳卒中 3.6倍
重症不整脈 2-3倍

とリスクが高まるという結果でした。

日々リラックスして、怒りなどの感情が沸きすぎないような生活を心がけたいものです。
自分の心理状態を客観的に観察するのにスマートウォッチ、心拍数トラッキングは役立ちます。ぜひ使ってみてください。

【参考文献】

・Schwartz GE, Weinberger DA, Singer JA. Cardiovascular differentiation of happiness, sadness, anger, and fear following imagery and exercise. Psychosom Med. 1981;43(4):343-64.

・Mostofsky E, Penner EA, Mittleman MA. Outbursts of anger as a trigger of acute cardiovascular events: a systematic review and meta-analysis. Eur Heart J. 2014;35(21):1404-10.

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