心臓血管

心臓血管

終末糖化産物 AGEsと心血管疾患

はじめに 終末糖化産物=Advanced Glycation End Products(AGEs)は、タンパク質、脂質、核酸が非酵素的に糖化・酸化されることによって生成される多様な分子群です。 AGEsは、細胞内および細胞外マトリックスのタ...
心臓血管

動脈スティフネス arterial stiffness:血管老化のサイン

動脈スティフネス(arterial stiffness, AS)は、血管壁の弾性喪失を特徴とする病態であり、単なる加齢現象ではなく、慢性腎疾患(CKD)や糖尿病、高血圧といった病態と密接に関係する心血管リスクの早期マーカーです。本稿では、T...
心臓血管

「動脈硬化」とは?意外と難しいその概念

はじめに:同じ「動脈硬化」でも、意味が異なる 「動脈硬化」という言葉は医療現場で日常的に使われていますが、その裏に含まれる病理学的意味は一様ではありません。Santosらは2021年の論文「Arteriosclerosis, atheros...
Digital Health

声に宿るバイオマーカー:音声解析による心不全モニタリング

はじめに:声が語る心不全の兆し 心不全(Heart Failure: HF)は、世界中で6400万人以上が罹患している慢性疾患であり、米国および欧州では毎年100万件以上の入院を引き起こす深刻な健康問題、社会問題です。進行性の疾患である一方...
ポジティブ心理学

お金の不安は健康問題。経済的な不安が「心臓」に与える影響

医療や健康の領域ではこれまで、教育水準や所得といった社会経済的地位(SES)と健康の関連性が数多く報告されてきました。2025年にJAMA Cardiologyという米国の有名な医学誌に掲載された論説が、もっと深い問題を提起しています。それ...
心臓血管

若年期の累積心血管健康スコアと中年期心血管疾患リスクの関連性

はじめに 心血管疾患(CVD)は依然として世界的な健康課題の最前線に位置しています。2022年、米国心臓協会(AHA)は心血管健康(cardiovascular health; CVH)を測定する新しい枠組みとして「Life's Essen...
心臓血管

口腔機能の脆弱性と心血管疾患

はじめに 口腔機能の脆弱性(オーラルフレイル)は、加齢に伴う口腔健康状態と機能の低下を指し、全身の健康状態に深く関与しています。近年、この概念が心血管疾患(CVD)患者において特に重要であることが明らかになってきました。本解説では、Ogaw...
心臓血管

atherosclerosisとarteriosclerosis:類似と相違から読み解く血管病変の本質

はじめに:見過ごされがちな二つの血管老化現象 動脈硬化(atherosclerosis)と動脈硬化(arteriosclerosis)は、いずれも加齢や生活習慣により進行する血管病変として知られています。一般的には「動脈硬化」という用語でひ...
Digital Health

単一誘導心電図と人工知能による心不全予測

はじめに:心不全リスク層別化の課題 心不全(heart failure, HF)は世界的に増加しており、その罹患率や再入院率の高さから、公衆衛生上の重大な課題となっています。近年、HFの予防的介入が可能な薬剤が登場してきたにもかかわらず、ス...
心臓血管

前立腺肥大症と心血管疾患のあいだに潜む因果関係―双方向メンデルランダム化解析―

はじめに:前立腺肥大症と心血管疾患 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia: BPH)は、高齢男性の健康問題として広く知られていますが、単なる排尿障害にとどまらず、近年では心血管疾患(cardiovascul...