心臓血管

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atherosclerosisとarteriosclerosis:類似と相違から読み解く血管病変の本質

はじめに:見過ごされがちな二つの血管老化現象 動脈硬化(atherosclerosis)と動脈硬化(arteriosclerosis)は、いずれも加齢や生活習慣により進行する血管病変として知られています。一般的には「動脈硬化」という用語でひ...
Digital Health

単一誘導心電図と人工知能による心不全予測

はじめに:心不全リスク層別化の課題 心不全(heart failure, HF)は世界的に増加しており、その罹患率や再入院率の高さから、公衆衛生上の重大な課題となっています。近年、HFの予防的介入が可能な薬剤が登場してきたにもかかわらず、ス...
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前立腺肥大症と心血管疾患のあいだに潜む因果関係―双方向メンデルランダム化解析―

はじめに:前立腺肥大症と心血管疾患 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia: BPH)は、高齢男性の健康問題として広く知られていますが、単なる排尿障害にとどまらず、近年では心血管疾患(cardiovascul...
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LDLの血管内皮下侵入メカニズム

はじめに:LDLとは何か、なぜ血管壁に入るのか LDL(Low-Density Lipoprotein)は、肝臓で生成され、血中を通じて全身の細胞へコレステロールを供給するリポタンパク粒子です。直径22〜27nmの球状構造を持ち、その表面に...
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若年期に始まる動脈硬化

はじめに:動脈硬化は“老化”の問題ではない 動脈硬化という言葉から、多くの人が思い浮かべるのは高齢者の病気かもしれません。しかし、2002年の古い研究ではありますが、Pathobiological Determinants of Ather...
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冠動脈疾患のパラダイムシフト:虚血からアテロームへ

はじめに:従来の限界と新たな視点 冠動脈疾患(CAD)は、依然として世界で最も多くの命を奪っている疾患のひとつです。2025年現在、CADは毎年およそ900万人の死者を出しています。冠動脈疾患(CAD)に対する現代医学のアプローチは、長年に...
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「うっ血」とは?「鬱血性心不全」とは?その病態と診断・管理・治療

はじめに 心不全は、心臓の構造的あるいは機能的な異常によって、心臓が全身の組織や臓器に十分な血液を供給できなくなる症候群と定義されます。この病態は、単に心臓のポンプ機能の低下に留まらず、体液の調節異常を引き起こし、結果として「うっ血」という...
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収縮能が保たれた心不全(HFpEF)における運動耐容能低下の機序

序論:問題の重要性 心不全患者の約半数を占めるとされるHFpEF(Heart Failure with Preserved Ejection Fraction:左室駆出率保持型心不全)は、現代の医療における重要な課題の1つです。しばしば「心...
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無症候性大動脈弁狭窄症に対する治療介入

はじめに これまで「症状の出現」が介入の大前提とされてきた大動脈弁狭窄症(aortic stenosis: AS)に対し、今、パラダイムシフトが起きようとしています。1998年のACC/AHAガイドラインにおいては、ASに対する大動脈弁置換...
医療全般

黄砂(Asian Dust)と健康リスク

はじめに 春先、東アジアに黄色い空が訪れる現象をご存知でしょうか。アジアダスト、通称「黄砂」は、モンゴルや中国内陸部の砂漠地帯から巻き上げられた大量の鉱物粒子が、大気の流れに乗って日本や韓国、台湾を含む東アジア全域に運ばれてくる自然現象です...