心臓血管

冠動脈疾患のパラダイムシフト:虚血からアテロームへ

はじめに:従来の限界と新たな視点 冠動脈疾患(CAD)は、依然として世界で最も多くの命を奪っている疾患のひとつです。2025年現在、CADは毎年およそ900万人の死者を出しています。冠動脈疾患(CAD)に対する現代医学のアプローチは、長年に...
心臓血管

「うっ血」とは?「鬱血性心不全」とは?その病態と診断・管理・治療

はじめに 心不全は、心臓の構造的あるいは機能的な異常によって、心臓が全身の組織や臓器に十分な血液を供給できなくなる症候群と定義されます。この病態は、単に心臓のポンプ機能の低下に留まらず、体液の調節異常を引き起こし、結果として「うっ血」という...
心拍/不整脈

運動しても心拍数が上がらない;変時不全(Chronotropic Incompetence)

運動中に「なぜかすぐ息が切れる」「疲れやすい」と感じるのに、スマートウォッチを見れば心拍数は大して上がっていない。こうした現象に心当たりのある方は、もしかすると「変時不全(Chronotropic Incompetence:CI)」という状...
食事 栄養

食品リテラシーと食事動機が食事の質と肥満に与える影響

この研究は、食品リテラシー(食に関する知識・技能・行動)と食事動機(食べる理由や動機)が、食事の質と肥満(一般的な肥満と腹部肥満)にどのように関連しているかを包括的に調査しています。
心臓血管

収縮能が保たれた心不全(HFpEF)における運動耐容能低下の機序

序論:問題の重要性 心不全患者の約半数を占めるとされるHFpEF(Heart Failure with Preserved Ejection Fraction:左室駆出率保持型心不全)は、現代の医療における重要な課題の1つです。しばしば「心...
脂質代謝

高コレステロール血症治療薬 スタチンは本当に安全か?—一次予防における利益とリスク

高コレステロール血症治療薬 スタチンの心血管疾患に対する予防効果は明確である一方、副作用に対する懸念が今もなお根強く残っています。
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LDLコレステロールはどこまで下げてよいのか?

はじめに 「LDLコレステロールは低ければ低いほど良い」。この命題は、ここ数十年の心血管病予防の根幹をなしてきました。しかし、LDL-C(Low-Density Lipoprotein Cholesterol)を極端に下げたとき、果たしてそ...
生活環境

南米先住民ツィマネ(Tsimane)族における冠動脈硬化の驚異的な低頻度―生活様式と心血管健康の深い関係

はじめに 冠動脈疾患(CAD)は依然として世界的な死亡原因の上位を占めており、その発症には高LDLコレステロール、高血圧、糖尿病、喫煙など、よく知られた危険因子が関与しています。これまでの疫学的研究では、これらの因子がCAD全体の90%以上...
食事 栄養

健康的な食事:2025-2030年アメリカ食事ガイドラインの進歩と課題

はじめに 米国政府が5年ごとに更新する「Dietary Guidelines for Americans(DGA)」は、単なる栄養の指針ではありません。学校給食、WIC(女性・乳児・子ども向け特別補助栄養プログラム)、軍の給食、そして連邦栄...
脂質代謝

LDLコレステロールが動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を引き起こす確たる証拠

はじめに:LDLと心血管疾患の因果関係をめぐる論争 動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)は、心筋梗塞や虚血性脳卒中などの臨床症状を伴い、世界中で罹患率と死亡率の主要な原因となっています。この疾患の発症には多くの危険因子が関与していますが、中で...