食事 栄養

塩分と血圧の深い関係

はじめに ナトリウム(Na)は生命維持に不可欠な陽イオンであり、その恒常性維持は生体内の電解質バランス、細胞外液量(ECF)、さらには血圧に直結しています。EllisonとWellingは、腎臓によるNa排泄制御を中心に、皮膚や免疫系などの...
心拍/不整脈

ペースメーカー植込みを要した元アスリート:持久系アスリートと徐脈性不整脈

はじめに:アスリートの徐脈は本当に“生理的”か? 運動生理学の教科書において、アスリートに見られる徐脈や軽度の房室(AV)ブロックは、心臓が高い効率をもって拍出を担う結果としての「良性の適応」と記載されています。特に持久系スポーツにおいては...
心拍/不整脈

アスリートの徐脈は安全なのか? 潜在するリスク

はじめに 長期間にわたるスポーツ活動、特に持久系スポーツは、トレーニングを受けていない一般の人々では異常とされる心電図パターンを引き起こすことが知られています。中でも、洞徐脈や房室(AV)ブロックなどの徐脈性不整脈は、アスリートにおいて頻繁...
心臓血管

食塩・ナトリウム摂取量と心血管疾患、血圧の関連を示した臨床試験

疫学研究(コホート研究)の知見 疫学研究、特に前向きコホート研究では、食塩・ナトリウム摂取量と心血管疾患リスクの関連が比較的一貫して示されています: Strazzulloらによる13の前向き研究(約17.7万人)のメタ分析では、高い塩分摂取...
医療全般

過剰な食塩摂取を避けるべきだが、個人の努力では難しい

はじめに:食塩は「白い毒」か、それとも必要不可欠な栄養か 食塩(NaCl)は人類にとって不可欠な栄養素であり、文化や歴史の中でその重要性が語られてきました。しかし現代においては、この必須ミネラルの「過剰」が深刻な健康問題を引き起こしています...
中枢神経・脳

低亜鉛、銅、マンガン摂取と抑うつ・不安症状の関連:日本の労働者を対象とした横断研究

はじめに:心の健康とミネラル摂取の新たな接点 うつや不安といった精神疾患は、近年ますます社会的関心が高まっている健康問題です。特に労働世代においては、精神的不調が労働生産性の低下や職場離脱の原因となり、個人のみならず組織や社会全体への影響が...
食事 栄養

心不全患者における亜鉛欠乏と死亡リスク

はじめに:見過ごされてきたミネラルが予後を左右する? 心不全(heart failure:HF)は世界中で主要な死因のひとつであり、その罹患率と医療負担は年々増加しています。特に5年生存率は50〜75%と依然として厳しい状況が続き、管理の最...
睡眠

慢性不眠症を見直す:症状の背後にある病態と全身疾患との関連

はじめに 慢性不眠症(chronic insomnia:CI)は、単なる「眠れない夜」の連続ではありません。世界人口の6〜10%がこの障害を有し、症状としての不眠を含めると、35%に上ります。さらに、急性不眠を含めた生涯有病率は50%にも達...
脂質代謝

LDLコレステロールが低いと出血しやすい:静脈血栓塞栓症患者の解析

はじめに:LDL-Cは善か、悪か――抗凝固療法時代の新たな視点 低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)は、動脈硬化性疾患の主要な危険因子として長らく知られ、スタチンやPCSK9阻害薬による低下療法が確立されています。しかし、LDL-Cの...
医療全般

CT検査を受けることによる発がんリスク:最新エビデンス

はじめに:有用性の裏に潜むリスク CT(コンピューター断層撮影)は、現代医療において欠かせない診断ツールの一つです。外傷評価やがんの進行度診断、心血管疾患の検出まで、あらゆる場面で威力を発揮します。その利用は増加の一途をたどっており、米国で...