中枢神経・脳

スタチン使用がくも膜下出血発症リスクを低減し得る

はじめに くも膜下出血(SAH)は、致死率が高く、救命できても重篤な後遺症を残すことが多い脳血管疾患です。主因は脳動脈瘤の破裂ですが、未破裂の段階で発見・外科的処置できるケースは限られます。近年、脂質低下薬として広く用いられるスタチンが、血...
アンチエイジング

老化生物学とジェロサイエンス(geroscience)

序論:老化を直接標的とする医療の新潮流 21世紀の医学は、心筋梗塞や脳卒中、がんといった個別疾患に焦点を当て、その原因となる生物学的経路を修飾する治療薬を発展させてきました。しかし、高齢化が急速に進む社会において、こうした疾患特異的アプロー...
血圧

二次性高血圧の代表的疾患:原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism, PA)実践ガイドライン

はじめに 原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism, PA)は、副腎からのアルドステロン過剰分泌により発症する二次性高血圧の代表的疾患です。アルドステロンは本来、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS...
ED

男性更年期障害、LOH症候群、中高年男性におけるテストステロン補充療法の効果とリスク:最新エビデンスに基づく総説

はじめに 中高年男性におけるテストステロン(T)治療は、性機能改善や骨量維持、貧血矯正といった効果が期待される一方で、心血管系や骨折リスク、血栓症といった安全性への懸念も存在します。本稿では、NEJMに掲載された最新のレビュー論文では、Te...
Digital Health

非侵襲的な肺動脈楔入圧(PCWP)推定技術の革新:ウェアラブルセンサーとAIを活用した心不全管理

はじめに:心不全管理の新たな地平を開く技術 心不全(HF)の臨床管理において、体液貯留やうっ血の評価は極めて重要な要素です。特に、肺動脈楔入圧(PCWP)は、左心系の充満圧を反映する信頼性の高い指標とされており、心不全増悪の早期発見や治療調...
心拍/不整脈

日本における山岳遭難死の実態 心臓突然死の頻度は?

はじめに  登山ブームが定着した日本では、年間およそ1,100万人がレクリエーション目的で山岳地域を訪れていると報告されています(2015年時点)。その一方で、毎年300人以上が命を落としており、その大半は警察による山岳救助の対象者です。本...
中枢神経・脳

下位脳神経症候群:多彩な神経症候

はじめに 脳神経のうち、特に下位脳神経(Lower Cranial Nerves, 以下LCN)である第IX〜XII脳神経(舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経)は、咀嚼・嚥下・音声・味覚・自律機能など、生命維持と生活の質に直結する多彩な機...
医療全般

警察拘束下における急性死:興奮性せん妄 Excited Delirium Syndrome(ExDS)

はじめに 2025年某日某所、深夜に裸で叫ぶ30代女性が目撃され、警察官により保護された直後に意識を消失し、数時間後に死亡が確認されました。この事例は、その異常行動と突発的な死の経過から、「興奮性せん妄;Excited Delirium S...
消化器科

揚げ物が身体に悪いメカニズム;腸内細菌叢、肥満・心代謝疾患の関連

はじめに 日常的に食卓に並ぶ「揚げ物」は、その手軽さと嗜好性の高さから多くの人々に親しまれています。しかしその一方で、心血管疾患や糖尿病などの生活習慣病との関連が繰り返し指摘されてきました。これまでの疫学研究は、揚げ物摂取と肥満やメタボリッ...
心臓血管

虚血性心疾患を有する人は富士山登頂を目指せるか?

はじめに:標高3776mの挑戦に心臓はどう応えるか 富士山。標高3776mという日本最高峰の頂を目指す行為は、多くの人にとって精神的な達成であると同時に、身体にとっても大きな挑戦です。特に虚血性心疾患(CAD:冠動脈疾患)を抱える人々にとっ...