脂質代謝

Lipoprotein(a)の臨床的意義と管理 2025

はじめに 動脈硬化性心血管疾患(Atherosclerotic Cardiovascular Disease;ASCVD)は、依然として世界的な主要死因となっています。近年、古典的リスク因子に加え、Lipoprotein(a)(Lp(a))...
心臓血管

「動脈硬化」とは?意外と難しいその概念

はじめに:同じ「動脈硬化」でも、意味が異なる 「動脈硬化」という言葉は医療現場で日常的に使われていますが、その裏に含まれる病理学的意味は一様ではありません。Santosらは2021年の論文「Arteriosclerosis, atheros...
Digital Health

声に宿るバイオマーカー:音声解析による心不全モニタリング

はじめに:声が語る心不全の兆し 心不全(Heart Failure: HF)は、世界中で6400万人以上が罹患している慢性疾患であり、米国および欧州では毎年100万件以上の入院を引き起こす深刻な健康問題、社会問題です。進行性の疾患である一方...
中枢神経・脳

睡眠障害と睡眠不足における脳変化の違い(詳細版)

はじめに 睡眠は、情動制御、認知機能、身体の恒常性維持にとって不可欠な生理現象です。しかし現代社会では、慢性的な睡眠障害および急性の睡眠不足が広く蔓延しており、その影響は精神疾患の悪化、記憶障害、情動不安定性などに及びます。特に、様々な睡眠...
中枢神経・脳

「睡眠不足」と「睡眠障害」、脳への影響はどう違う?やさしく解説。

はじめに:眠れない夜の先にあるもの 夜なかなか寝つけない、不安で何度も目が覚める。そんな「睡眠の悩み」を抱えたことはありませんか? 「たかが睡眠」と思いがちですが、最近の研究で睡眠の質や量が脳に与える影響はとても大きいことがわかってきました...
ポジティブ心理学

お金の不安は健康問題。経済的な不安が「心臓」に与える影響

医療や健康の領域ではこれまで、教育水準や所得といった社会経済的地位(SES)と健康の関連性が数多く報告されてきました。2025年にJAMA Cardiologyという米国の有名な医学誌に掲載された論説が、もっと深い問題を提起しています。それ...
中枢神経・脳

帯状疱疹ワクチンが認知症リスクを低下させる

研究の背景と重要性 近年、神経向性ヘルペスウイルスが認知症の発症に因果的役割を果たす可能性が指摘されてきました。特に、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)や単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、神経炎症や血管障害を引き起こし、アミロイドβの...
心臓血管

若年期の累積心血管健康スコアと中年期心血管疾患リスクの関連性

はじめに 心血管疾患(CVD)は依然として世界的な健康課題の最前線に位置しています。2022年、米国心臓協会(AHA)は心血管健康(cardiovascular health; CVH)を測定する新しい枠組みとして「Life's Essen...
心臓血管

口腔機能の脆弱性と心血管疾患

はじめに 口腔機能の脆弱性(オーラルフレイル)は、加齢に伴う口腔健康状態と機能の低下を指し、全身の健康状態に深く関与しています。近年、この概念が心血管疾患(CVD)患者において特に重要であることが明らかになってきました。本解説では、Ogaw...
心臓血管

atherosclerosisとarteriosclerosis:類似と相違から読み解く血管病変の本質

はじめに:見過ごされがちな二つの血管老化現象 動脈硬化(atherosclerosis)と動脈硬化(arteriosclerosis)は、いずれも加齢や生活習慣により進行する血管病変として知られています。一般的には「動脈硬化」という用語でひ...