中枢神経・脳

睡眠障害と睡眠不足における脳変化の違い(詳細版)

はじめに 睡眠は、情動制御、認知機能、身体の恒常性維持にとって不可欠な生理現象です。しかし現代社会では、慢性的な睡眠障害および急性の睡眠不足が広く蔓延しており、その影響は精神疾患の悪化、記憶障害、情動不安定性などに及びます。特に、様々な睡眠...
中枢神経・脳

「睡眠不足」と「睡眠障害」、脳への影響はどう違う?やさしく解説。

はじめに:眠れない夜の先にあるもの 夜なかなか寝つけない、不安で何度も目が覚める。そんな「睡眠の悩み」を抱えたことはありませんか? 「たかが睡眠」と思いがちですが、最近の研究で睡眠の質や量が脳に与える影響はとても大きいことがわかってきました...
ポジティブ心理学

お金の不安は健康問題。経済的な不安が「心臓」に与える影響

医療や健康の領域ではこれまで、教育水準や所得といった社会経済的地位(SES)と健康の関連性が数多く報告されてきました。2025年にJAMA Cardiologyという米国の有名な医学誌に掲載された論説が、もっと深い問題を提起しています。それ...
中枢神経・脳

帯状疱疹ワクチンが認知症リスクを低下させる

研究の背景と重要性 近年、神経向性ヘルペスウイルスが認知症の発症に因果的役割を果たす可能性が指摘されてきました。特に、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)や単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、神経炎症や血管障害を引き起こし、アミロイドβの...
心臓血管

若年期の累積心血管健康スコアと中年期心血管疾患リスクの関連性

はじめに 心血管疾患(CVD)は依然として世界的な健康課題の最前線に位置しています。2022年、米国心臓協会(AHA)は心血管健康(cardiovascular health; CVH)を測定する新しい枠組みとして「Life's Essen...
心臓血管

口腔機能の脆弱性と心血管疾患

はじめに 口腔機能の脆弱性(オーラルフレイル)は、加齢に伴う口腔健康状態と機能の低下を指し、全身の健康状態に深く関与しています。近年、この概念が心血管疾患(CVD)患者において特に重要であることが明らかになってきました。本解説では、Ogaw...
心臓血管

atherosclerosisとarteriosclerosis:類似と相違から読み解く血管病変の本質

はじめに:見過ごされがちな二つの血管老化現象 動脈硬化(atherosclerosis)と動脈硬化(arteriosclerosis)は、いずれも加齢や生活習慣により進行する血管病変として知られています。一般的には「動脈硬化」という用語でひ...
身体活動

運動が若年男性の動脈スティフネスに与える多面的効果

はじめに 動脈スティフネス(arterial stiffness)は、血管壁の柔軟性が低下し、血圧変動に対する緩衝作用が弱まる状態を指します。簡単に言うと「動脈の硬さ」です。 この変化は、心不全や脳卒中、腎不全といった重篤な疾患の前駆状態で...
Digital Health

単一誘導心電図と人工知能による心不全予測

はじめに:心不全リスク層別化の課題 心不全(heart failure, HF)は世界的に増加しており、その罹患率や再入院率の高さから、公衆衛生上の重大な課題となっています。近年、HFの予防的介入が可能な薬剤が登場してきたにもかかわらず、ス...
睡眠

多面的な睡眠健康の定義と心臓代謝への影響

はじめに:睡眠健康のパラダイムシフト 心血管疾患の予防における生活習慣の重要性はすでに広く認識されていますが、その中で「睡眠」の役割が近年ますます注目されています。特にアメリカ心臓協会(AHA)は2022年、「Life’s Simple 7...