整形外科

腰痛が社会にもたらす損失;集中力低下や作業効率の悪化

はじめに 腰痛や慢性的な背部障害は、世界的にみても最も一般的な慢性疾患の一つであり、健康関連QOLの低下だけでなく、社会的・経済的負担をもたらすことが知られています。特に労働年齢層においては、単なる痛みや身体機能の制限にとどまらず、労働参加...
がん、悪性腫瘍

がんと心血管疾患:共通のリスク因子と統合的予防戦略

はじめに がんと心血管疾患(CVD)は、世界的な死亡の半分以上を占める二大疾患です。かつては別々の領域で論じられてきましたが、近年の知見は両者が深く絡み合い、互いに進展を促す「双方向的関係」を持つことを示しています。加齢、喫煙、肥満、糖尿病...
睡眠

閉塞性睡眠時無呼吸の診断と治療 (2025 JAMA Internal Medicine総説)

はじめに 閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea: OSA)は、もはや一部の人々に限られた疾患ではありません。世界で10億人がOSAに罹患しており、そのうち4億2500万人が中等症から重症に分類されます。これは人...
血圧

拡張期血圧のみ高い高血圧(Isolated Diastolic Hypertension, IDH)

2025 AHA/ACC Multisociety高血圧ガイドラインの記載を踏まえ、しばしば臨床上問題となる拡張期高血圧(Isolated Diastolic Hypertension, IDH)の病態と治療上の注意点を整理します。 Iso...
消化器科

痔核疾患の最新レビュー:病態、診断、治療の現状

序論 痔核は誰にでも存在する解剖学的構造ですが、症状を伴うと「痔核疾患」として医療介入が必要になります。米国では年間1,000万人に影響し、外来消化器疾患の第4位を占め、年間4百万件の受診と13億ドルの医療費を生じています。生命予後を脅かす...
血圧

2025年米国 成人における高血圧の予防、検出、評価、および管理に関するガイドライン

序論:米国の高血圧ガイドライン改訂とその意義 高血圧は世界で最も有病率が高く、かつ修正可能な心血管疾患(CVD)の危険因子です。冠動脈疾患、心不全、心房細動、脳卒中、認知症、慢性腎臓病などに直結し、全死亡率にも強く影響を与えます。2025年...
医療全般

現代米国の子ども・若者の健康と幸福の悪化という危機

はじめに 近年、米国の子どもの健康状態が悪化しているという警鐘が、科学界や政策立案者から発せられています。この状況は、単一の健康指標に留まらず、複合的な要因が絡み合う複雑な問題として浮上しています。今回取り上げる論文「Trends in U...
心臓血管

プラスチック添加物と心血管疾患:見過ごされてきた地球規模の脅威

はじめに プラスチックに含まれる化学添加物の安全性は、ここ数十年にわたり議論されてきました。その中でもジ(2-エチルヘキシル)フタレート(Di(2-ethylhexyl)phthalate); DEHP)(フタル酸ジエチルヘキシル)は、柔軟...
身体活動

身体活動を「始めること」と「やめないこと」が健康長寿の鍵

はじめに 身体活動(physical activity, PA)は健康長寿を支える最も強力な非薬物的介入の一つです。これまでの疫学研究では、単一時点のPA測定と死亡リスクとの関連を検討したものが多く、長期にわたるPAの変化や蓄積パターンが死...
心臓血管

僧帽弁逸脱症(Mitral Valve Prolapse: MVP)の有病率、進行率、臨床的転帰

はじめに 僧帽弁逸脱症(Mitral Valve Prolapse: MVP)は、左室収縮期に一方または両方の僧帽弁尖が左心房方向へ突出する構造的異常であり、僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation: MR)の主要な原因の...