血圧

2025年米国 成人における高血圧の予防、検出、評価、および管理に関するガイドライン

序論:米国の高血圧ガイドライン改訂とその意義 高血圧は世界で最も有病率が高く、かつ修正可能な心血管疾患(CVD)の危険因子です。冠動脈疾患、心不全、心房細動、脳卒中、認知症、慢性腎臓病などに直結し、全死亡率にも強く影響を与えます。2025年...
医療全般

現代米国の子ども・若者の健康と幸福の悪化という危機

はじめに 近年、米国の子どもの健康状態が悪化しているという警鐘が、科学界や政策立案者から発せられています。この状況は、単一の健康指標に留まらず、複合的な要因が絡み合う複雑な問題として浮上しています。今回取り上げる論文「Trends in U...
心臓血管

プラスチック添加物と心血管疾患:見過ごされてきた地球規模の脅威

はじめに プラスチックに含まれる化学添加物の安全性は、ここ数十年にわたり議論されてきました。その中でもジ(2-エチルヘキシル)フタレート(Di(2-ethylhexyl)phthalate); DEHP)(フタル酸ジエチルヘキシル)は、柔軟...
身体活動

身体活動を「始めること」と「やめないこと」が健康長寿の鍵

はじめに 身体活動(physical activity, PA)は健康長寿を支える最も強力な非薬物的介入の一つです。これまでの疫学研究では、単一時点のPA測定と死亡リスクとの関連を検討したものが多く、長期にわたるPAの変化や蓄積パターンが死...
心臓血管

僧帽弁逸脱症(Mitral Valve Prolapse: MVP)の有病率、進行率、臨床的転帰

はじめに 僧帽弁逸脱症(Mitral Valve Prolapse: MVP)は、左室収縮期に一方または両方の僧帽弁尖が左心房方向へ突出する構造的異常であり、僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation: MR)の主要な原因の...
女性医療

トランスジェンダー医療とQT間隔

はじめに トランスジェンダー医療は過去10年間で急速に発展し、現在では若年成人人口の0.5〜3.2%を占めると推定されています。性別適合ホルモン療法(gender-affirming hormone therapies ; GAHT)は、ト...
心拍/不整脈

左脚ブロック(LBBB)と心不全リスク

なぜ左脚ブロック(LBBB)が問題か LBBBは心不全(HF)と低左室駆出率(LVEF)を有する患者で死亡率上昇と結びつき、再同期療法(CRT)が有効であることはよく知られています。一方で、無症候の地域在住者で偶発的に見つかるLBBBが、そ...
中枢神経・脳

スタチン使用がくも膜下出血発症リスクを低減し得る

はじめに くも膜下出血(SAH)は、致死率が高く、救命できても重篤な後遺症を残すことが多い脳血管疾患です。主因は脳動脈瘤の破裂ですが、未破裂の段階で発見・外科的処置できるケースは限られます。近年、脂質低下薬として広く用いられるスタチンが、血...
アンチエイジング

老化生物学とジェロサイエンス(geroscience)

序論:老化を直接標的とする医療の新潮流 21世紀の医学は、心筋梗塞や脳卒中、がんといった個別疾患に焦点を当て、その原因となる生物学的経路を修飾する治療薬を発展させてきました。しかし、高齢化が急速に進む社会において、こうした疾患特異的アプロー...
血圧

二次性高血圧の代表的疾患:原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism, PA)実践ガイドライン

はじめに 原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism, PA)は、副腎からのアルドステロン過剰分泌により発症する二次性高血圧の代表的疾患です。アルドステロンは本来、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS...