外食やテイクアウトを頻繁に利用する人は死亡リスクが高い

生活環境

多忙で自炊をする暇もなく、外食したり、コンビニを利用したり、またUberなどのデリバリーサービスを利用したりする人は多いと思います。

「外食やテイクアウトは健康に悪い」とする先行研究は多い

外食にせよ、テイクアウトにせよ、家庭外で調理された食事は、以下のような傾向があることが複数の論文で指摘されています。

・カロリー過多
・脂肪、糖質が多い
・塩分が多い
・野菜、果物、全粒穀物が少ない
・食物繊維が少ない
・その他抗酸化物質などの栄養素が少ない

もちろん、これらに当てはまらないような栄養バランスが良い食事を提供しているお店もあります。あくまでも一般的な傾向と思ってください。

その結果、頻繁に外食やテイクアウトすることは肥満や糖尿病を助長します。(これも多くの論文で示されています。)

今回ご紹介する論文では、それを一歩進めて、死亡リスクへの影響を評価しました。

外食やテイクアウトと死亡リスク

Association Between Frequency of Eating Away-From-Home Meals and Risk of All-Cause and Cause-Specific Mortality.

J Acad Nutr Diet. 2021 Feb 18:S2212-2672(21)00059-9.

NHANESという米国全体規模の調査のデータが元になっています。明らかな疾患のない健康成人約3万5000人にアンケートを実施。

「過去7日間に、レストラン、ファーストフード店、屋台、食料品店、自動販売機などで、家庭外で調理された食事を何回とりましたか?」

という質問をし、家庭外で調理された食事をとる頻度で以下のように分類しました。

・週に1回未満
・週に1~3回
・週に4~6回
・週に7~13回
・1日2回以上

その上で、この約3万5000人を中央値7.8年、最大値16.7年間フォローしました。
年齢、性別、人種/民族、社会経済的地位、食事および生活習慣因子、BMIを調整して解析しました。

その結果、

外食頻度が非常に高い群(1日2食以上)の死亡リスク(ハザード比)は、外食頻度がほとんどない群(1回/週未満)と比較して、以下のごとく高くなることがわかりました。

・全死亡率 1.49倍
・心血管死亡率 1.18倍
・がん死亡率 1.67倍

要するに、1日2食以上外食など自宅以外で調理されたものを食べている人は、ほぼ毎食自炊している人よりも死亡率が1.5倍高いという結果です。

原因として、

・先に挙げたように、外食は栄養バランスが悪い
・フタル酸エステルなどの有害化学物質の濃度が高い
・頻繁に外食→過重労働など仕事の負担が大きい可能性

などが関与していると著者らは考察しています。

自炊推奨。身体に優しい外食店も増えると良いですね。

上記研究は、観察研究ですし様々な限界があります。また米国の研究であり、今現在の日本に単純に当てはめることもできません。しかし先行研究とも矛盾していない結果であり、それなりに参考になる研究だと思います。

我々は、なるべく外食やテイクアウト、出来合いの惣菜などに頼ることを控えることが健康を維持することにおいて、大きなポイントの1つになりそうです。
つまり、「自炊」推奨です。

仮に外食やテイクアウトをする場合は、なるべく自宅で作っているものと近いものを選択すると良いと思います。

新型コロナパンデミックの際に、外食頻度が減り、自宅で食事をする機会が増え、糖尿病や脂質異常などの採血データが改善傾向を示したり、体重が減ったり、健康状態が向上した人も少なくありません。運動不足のデメリットを凌駕する好影響を示したと言えます。

コロナもひと段落し、外食を利用する人がまた増えてきていますが、消費者の身体に優しい外食店を作って頂けると、医療に携わるものとしてはとても嬉しく思います。

【参考文献】

Du Y, Rong S, Sun Y, Liu B, Wu Y, Snetselaar LG, Wallace RB, Bao W. Association Between Frequency of Eating Away-From-Home Meals and Risk of All-Cause and Cause-Specific Mortality. J Acad Nutr Diet. 2021 Feb 18:S2212-2672(21)00059-9. doi: 10.1016/j.jand.2021.01.012. Epub ahead of print. PMID: 33775622.

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