さて、今回は「お金で幸福を買う方法」をお伝えします。
といっても、高額なセミナーや、高額な幸せを呼ぶ壺などを紹介するわけではありません。
とても安価です。
2種類のお金の使い方
お金の使い方は2種類に分けることができます。
1. 個人的支出
→ 自分のためにお金を使う
2. 社会的支出
→ 他の人のためにお金を使う、慈善団体に寄付をするなど
とある研究では、通常の日常の中での「個人的支出」は幸福度と関連がありませんでしたが、「社会的支出」の増加は幸福度の増加と関連していました。
また、ボーナスをもらったという状況においても、それを「社会的支出」に多く充てた人の幸福度が高かったというデータもあります。ボーナスの額の高低よりも、その使い道が幸福度に大きく関連していました。
しかし、これらのデータは、「社会的支出」が多いから幸福なのか、幸福だから「社会的支出」が多くなるのか、わかりません。単に、恵まれている、裕福な人が、寄付をしているだけかもしれません。
そこで、この因果関係を調べるために介入研究が行われました。
社会的支出は幸福度を高める
参加者46人は、朝に幸福度を測定された後、5ドルまたは20ドルが入った封筒を渡され、その日の17時までに使うように指示されました。
ただし、46人は個人的支出グループ、あるいは社会的支出グループの2群に割り当てられました。
個人的支出グループに割り当てられた参加者は、請求書の支払いや経費、あるは自分のためにお金を使うように指示されました。
社会的支出グループに割り当てられた参加者は、他者へのプレゼントや慈善団体への寄付にお金を使うように指示されました。
参加者はその日の17時以降に、再び幸福感を測定されました。
結果、社会的支出グループは、個人的支出グループよりも、支出後の幸福感 が大きかったのです。
「自分のためにお金を使うよりも、他人のためにお金を使うほうが幸せを促進する」という因果関係が示されました。
500円ほど(5ドル)の金額でも、他の人のためにお金を使うことで、幸福度を高めることができるのです。
他の人に、ちょっとしたプレゼントなどをすることで、その人の幸福度も上がる可能性が期待できますし、自分の幸福度も上がるという一石二鳥の効果があるということです。
近年はクラウドファンディングがとても盛んですが、これに投資し他者を応援しつつ、自らの幸福度の向上にもつながるわけです。盛んな理由が理解できます。
まとめ
・他人のためにお金を使うことで主観的な幸福感が向上する。
・500円くらいでも効果が期待できる。
ストレスが多い、なんとなく気持ちが沈みがち、心身の調子が悪い、でも健診などでは異常が指摘できない、、という方は試しに社会的支出を試してみてはいかがでしょう。
【参考文献】
Dunn et al. (2008). Spending money on others promotes happiness. Science,319 (5870), 1687-1688.