現代社会ではこころが病んで心療内科や精神科に頼っている方が多いことを様々な場面で感じます。街の心療内科は予約でいっぱいです。
獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科(精神科)の教授井原裕先生の著書(1)は興味深いです。
現代社会に蔓延している「うつ病」は、かつての「鬱病」とは違うと言います。
・鬱病:脳の機能異常
・うつ病:神経症性抑うつ、こころの悩み(脳の機能異常ではない)を多く含んでいる
だそうで、現代のうつ病を「都市型うつ」と称し、生活習慣病として捉えています。
つまり、現代社会特有の様々なストレスフルな環境により抑うつ状態に陥っている外因性因子主体の病態です。
「都市型うつ」は、抗うつ剤が効かないとのことです。当たり前ですが、ストレスフルな環境を同定し、是正するに限ります。
にもかかわらず、漫然と多様な抗うつ剤が処方されている今の医療体制を井原先生は嘆いています。
「都市型うつ」の予防方法として以下を挙げています。
- 週50時間睡眠。7日で収支バランスを合わせる。
- 3日に1度、睡眠負債を返済する(週末より早いタイミングで返済)
- 定時起床、早期就寝(休日もこれに準じる)
- 昼寝は30分以内
- 節酒
- 万歩計活用(活動なくして睡眠なし)
- 睡眠、活動ログをとる
つまり、睡眠、身体活動、節酒が重要ということです。
これらを徹底することで、抗うつ剤を使わず回復が期待できますし、そもそもこのような生活をしていれば、心療内科の門を叩く確率も下がるということでしょう。
「都市型うつ」も、自分がいう「生活環境病」と解釈することもできます。
「意志」より「環境」です。
「環境」を変えれば、うつ病の回避も期待できるということです。
参考図書