「学び」で自律神経を整えよう

ポジティブ心理学

日々の習慣や心がけで幸せ感、ポジティブな感情(主観的幸福感)を高めて、日々のストレスで不安定になっている自律神経を整える方向に働かせ、「なんとなくの心身不調」を軽減できるのではないかと期待しています。

ということで今回もヒントとなる方法を提案します。

幸福感に関する世界規模の調査

世界規模で世論調査などを行っているギャラップ社が、2005年から2015年、166カ国の155万1,362人を対象に行ったGallup World Poll(GWP)という調査があります。

この調査では、その項目の1において、主観的幸福感に関する質問を行い、回答者を「とても幸せ」、「中程度の幸せ」、「不幸せ」の3つのグループに分け、どのような要素がそれらと相関するか調べました。

その結果において、例えば、「とても幸せ」な人たちは、運動量が多く、喫煙量が少ない、そして十分な睡眠をとっていました。

「とても幸せ」だから生活習慣の質を高めることができるのか、生活習慣の質を高めているから「とても幸せ」なのか、その両方なのか、この調査ではわかりません。

しかし他の様々な研究結果や、我々の肌感覚からは両方の可能性が高いのではないかと思います。いずれにしても、運動、禁煙、良き睡眠の身体的好影響は異論がないところですし、それに加え幸福感を高める可能性があるとするならば、実践することに損はないことは誰もが理解できるところかと思います。

他にも「幸せ」と相関する要素は色々あるのですが、ここで注目したいのは、「とても幸せ」のグループが、他の2つのグループに比べ「前日に何か新しいことを学んだ」という報告が多いことです。

「学び」は幸福感と相関する

「新しく何かを学ぶことが幸福感と相関する」という調査結果だったということです。

「学び」といっても色々あります。

日常の中から、ちょっとした学びを見出すこと。

能動的に、新しい分野の学習に取り組むこと。

なんでも良いと思います。

常に新しいことを学ぼうという意識が重要なのだと思います。知らないことを調べる、全く未知の分野のことに興味を持ってみる、好奇心を忘れない。学ぼうとする謙虚な姿勢でいる。

わからないことがわかったり、新しいことや意外な事実を知ったりした時に、嬉しかったり、ポジティブな驚きを感じたりした経験がある人は多いと思います。

「学ぶ」ということ自体から喜び、ポジティブ感情が生まれやすいのです。

「学び」に付随するポジティブな要素

新しい学びを得る過程では、その興味から集中(フロー;flow)に入ることも少なくありません。
フロー(flow)とは、その時行っていることに、没頭、集中、我を忘れてのめり込んでいるような状態を言います。その作業自体から充実感や満足感が得られるようなポジティブな状態です。

フロー(flow)に関しては今後このブログで触れたいと思っていますが、このフロー(flow)は主観的幸福感を得る重要な要素の1つです。これが「学び」の幸福感を後押しすることもあるのではないかと思います。


新しい学びを得る過程で、新たな人とのコミュニケーションが生まれることも多いでしょう。業種や分野の異なる人と接点を持つ・話してみる習慣は大事だと思います。それにより新たなコミュニティに属するきっかけになったりすることもあります。社会的接点が増加するということも、幸福感を向上させる要素の1つなのかもしれません。

人に教えてもらった場合、そこに「親切」や「感謝」が生まれてきます。親切にすることはもちろん、親切にされること、あるいは親切を観察するは幸福感を向上させますし、感謝することも幸福感を向上させます。

「学習欲」は本能

そもそも「学習欲」は、他の生物にはあまりない人間独特の「本能」という考え方もあります。性欲、食欲、睡眠欲などと同列という考えです。そして学習することで人は進化し、地球上で繁栄してきました。

性行為は幸福感を高めます。

食事は幸福感を高めます。

睡眠は幸福感を高めます。

学習が幸福感を高めるのも当然と言えます。
性欲や食欲、睡眠欲と同様、その魅力に理屈は不要なのかもしれません。

まとめ

・「学び」は幸福感を向上させる。
・「学び」はフローや社会的接点、親切、感謝を生み出す。
・学習欲は人間の本能

好奇心を大事にして、新しいことを学ぼうとする姿勢を忘れずに持ち続けましょう。ポジティブ感情を抱くことで、日々のストレスで不安定になりがちな自律神経を整える方向に働くことが期待できます。

【参考文献】

Diener E, Seligman MEP, Choi H, Oishi S. Happiest People Revisited. Perspect Psychol Sci. 2018 Mar;13(2):176-184. doi: 10.1177/1745691617697077. PMID: 29592642.

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