中枢神経・脳

帯状疱疹ワクチンが認知症リスクを低下させる

研究の背景と重要性 近年、神経向性ヘルペスウイルスが認知症の発症に因果的役割を果たす可能性が指摘されてきました。特に、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)や単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、神経炎症や血管障害を引き起こし、アミロイドβの...
心臓血管

若年期の累積心血管健康スコアと中年期心血管疾患リスクの関連性

はじめに 心血管疾患(CVD)は依然として世界的な健康課題の最前線に位置しています。2022年、米国心臓協会(AHA)は心血管健康(cardiovascular health; CVH)を測定する新しい枠組みとして「Life's Essen...
心臓血管

口腔機能の脆弱性と心血管疾患

はじめに 口腔機能の脆弱性(オーラルフレイル)は、加齢に伴う口腔健康状態と機能の低下を指し、全身の健康状態に深く関与しています。近年、この概念が心血管疾患(CVD)患者において特に重要であることが明らかになってきました。本解説では、Ogaw...
心臓血管

atherosclerosisとarteriosclerosis:類似と相違から読み解く血管病変の本質

はじめに:見過ごされがちな二つの血管老化現象 動脈硬化(atherosclerosis)と動脈硬化(arteriosclerosis)は、いずれも加齢や生活習慣により進行する血管病変として知られています。一般的には「動脈硬化」という用語でひ...
身体活動

運動が若年男性の動脈スティフネスに与える多面的効果

はじめに 動脈スティフネス(arterial stiffness)は、血管壁の柔軟性が低下し、血圧変動に対する緩衝作用が弱まる状態を指します。簡単に言うと「動脈の硬さ」です。 この変化は、心不全や脳卒中、腎不全といった重篤な疾患の前駆状態で...
Digital Health

単一誘導心電図と人工知能による心不全予測

はじめに:心不全リスク層別化の課題 心不全(heart failure, HF)は世界的に増加しており、その罹患率や再入院率の高さから、公衆衛生上の重大な課題となっています。近年、HFの予防的介入が可能な薬剤が登場してきたにもかかわらず、ス...
睡眠

多面的な睡眠健康の定義と心臓代謝への影響

はじめに:睡眠健康のパラダイムシフト 心血管疾患の予防における生活習慣の重要性はすでに広く認識されていますが、その中で「睡眠」の役割が近年ますます注目されています。特にアメリカ心臓協会(AHA)は2022年、「Life’s Simple 7...
脂質代謝

無症候性アテローム性動脈硬化症と早期予防戦略の新展開

はじめに:心血管疾患予防のパラダイムシフト 現代医学において、心血管疾患(CVD)は依然として世界の主要な死亡原因です。近年の研究は、臨床症状が現れる以前の段階である「無症候性アテローム性動脈硬化症(subclinical atherosc...
脂質代謝

悪玉LDLにApo(a)が結合した超悪玉=リポタンパク(a)(Lp(a))

はじめに:血中脂質の運搬体は、ただの「容器」ではない 血中に存在する脂質は、水に溶けないという性質上、運搬のためにタンパク質と複合体を形成して「リポタンパク」として存在します。これらのリポタンパクは、まるで細胞間を行き交う宅配便のようにコレ...
心臓血管

前立腺肥大症と心血管疾患のあいだに潜む因果関係―双方向メンデルランダム化解析―

はじめに:前立腺肥大症と心血管疾患 前立腺肥大症(benign prostatic hyperplasia: BPH)は、高齢男性の健康問題として広く知られていますが、単なる排尿障害にとどまらず、近年では心血管疾患(cardiovascul...