ポジティブ心理学

通勤と主観的幸福感・メンタルヘルスの関連性

はじめに 現代社会において、通勤は多くの人々の日常生活に深く根付いた習慣的行動です。英国労働組合会議(TUC)の報告によれば、2009年時点で英国南東部の労働者は、前年比31時間も通勤時間が増加しています。このような時間的負担は、人々の主観...
心臓血管

心筋梗塞後の予後管理における「便秘」

はじめに:心筋梗塞後の転帰を左右する新たな因子とは 心筋梗塞(myocardial infarction: MI)は、急性期の救命率が改善してきた一方で、退院後の慢性期管理がその後の予後を大きく左右する疾患です。特に心不全(heart fa...
糖尿病関連

成人2型糖尿病の診断と治療:最新のエビデンスに基づく総説

はじめに 2型糖尿病は、インスリン抵抗性を背景とした膵β細胞からのインスリン分泌の進行性低下を特徴とする代謝疾患です。2025年JAMA誌に発表されたKalyaniらの総説によれば、世界で5億8900万から8億2800万人が2型糖尿病を患っ...
睡眠

睡眠不足が意思決定に与える影響

はじめに:睡眠と認知機能の密接な関係 睡眠は単なる休息ではなく、記憶の定着、感情の調節、免疫機能の維持など、生命維持に不可欠な生理的プロセスです。成人では7-9時間の睡眠が推奨されていますが、世界の成人の少なくとも3分の1がこの基準を満たし...
心臓血管

心不全患者において下大静脈拡張はうっ血のサインだが、トップアスリートではよくあることらしい。

はじめに 運動生理学において、「アスリートの心(athlete’s heart)」は、長期的な持久的トレーニングにより生じる心筋の構造的・機能的な適応を指す概念として広く知られています。左室の内径拡大、壁厚増加、心拍出量の増大はその代表的変...
中枢神経・脳

不整脈発症後、認知症の進行が加速する:16年間の縦断コホート研究

はじめに 加齢とともに増加する心房細動などの不整脈は、脳卒中や認知症といった重大な転帰と関連していることが数多くの研究で示されています。なかでも、心房細動が脳血流の変動や微小塞栓を介して認知機能に影響を及ぼす可能性が注目されてきました。こち...
心臓血管

タコツボ心筋症の臨床的実態:Update

はじめに:良性とは言い難いたこつぼ型心筋症の実像 たこつぼ型心筋症(Takotsubo cardiomyopathy)は、感情的あるいは身体的ストレスを契機として一過性の左室壁運動異常を呈する心疾患であり、しばしば「ストレス心筋症」あるいは...
睡眠

睡眠不足が意思決定に与える影響:認知プロセスの解明

はじめに 睡眠不足が意思決定に悪影響を及ぼすことは広く知られていますが、その背後にある認知メカニズムは未解明な部分が多く、「認知のブラックボックス」と呼ばれています。つまり、多くの研究では表面的な行動指標(例:選択肢の比率、正答率)に頼るこ...
糖尿病関連

AGEの組織蓄積とAGE-RAGE相互作用は非糖尿病でも、全てのライフステージで影響を与えうる

はじめに 2014年に発表されたこの総説論文は、タンパク質糖化と酸化ストレスの相互作用、および栄養がこれらのプロセスに及ぼす影響について、ライフコース全体を通じて包括的に検討しています。特に、糖尿病だけでなく正常血糖状態における糖化の重要性...
糖尿病関連

2型糖尿病患者における血圧管理の新戦略:DASH4D食とナトリウム制限 

はじめに:食事療法は薬に勝るか? 2型糖尿病(T2D)と高血圧は、しばしば同時に存在し、心血管イベントの主要な危険因子となります。T2D患者の約8割は高血圧を併発しており、その管理は動脈硬化性疾患や脳卒中、腎症予防において極めて重要です。し...