心臓血管

無症候性大動脈弁狭窄症に対する治療介入

はじめに これまで「症状の出現」が介入の大前提とされてきた大動脈弁狭窄症(aortic stenosis: AS)に対し、今、パラダイムシフトが起きようとしています。1998年のACC/AHAガイドラインにおいては、ASに対する大動脈弁置換...
ポジティブ心理学

相対的剥奪(relative deprivation)と寿命の関係 ― 社会的比較が命を縮める

健康と所得の間には、思いのほか深い関係があります。とりわけ絶対的な貧困ではなく、他人との比較により感じる「相対的な剥奪感」が、どのように死亡リスクに影響を与えるかを検証したこの研究は、私たちが見落としがちな「価値観の優先順位」が、実は生死に...
医療全般

スギ花粉症が寿命を延ばす?──免疫の逆説と死亡リスク

はじめに スギ花粉症は日本における国民病といわれるほど有病率が高く、1998年には17.4%、2008年には26.5%、2019年には42.5%と急増しています。このアレルギー疾患は不快な症状をもたらす一方で、生命予後において予想外の“保護...
医療全般

黄砂(Asian Dust)と健康リスク

はじめに 春先、東アジアに黄色い空が訪れる現象をご存知でしょうか。アジアダスト、通称「黄砂」は、モンゴルや中国内陸部の砂漠地帯から巻き上げられた大量の鉱物粒子が、大気の流れに乗って日本や韓国、台湾を含む東アジア全域に運ばれてくる自然現象です...
医療全般

日本の人口の健康状態の30年間の変化(1990-2021年)

Three decades of population health changes in Japan, 1990–2021: a subnational analysis for the Global Burden of Disease ...
心拍/不整脈

心房細動アブレーション後の抗凝固薬中止

カテーテルアブレーション(CA)の技術進歩により、AFの根治的治療が可能となりつつあります。アブレーション後のOACの継続または中止については、明確なコンセンサスがありません。本研究は、CA成功後のOAC中止が血栓塞栓症や主要出血イベント、全死亡にどのように影響するか
アルコール

GLP-1受容体作動薬;「代謝薬」から「報酬調整薬」へ

GLP-1受容体作動薬(GLP-1 receptor agonists:GLP-1RAs)が、単なる代謝調節の枠を超え、中枢神経系における報酬行動に与える影響、報酬神経系への作用、特に食行動、嗜癖行動、動機づけにおける役割を体系的に検討しています。
アルコール

GLP-1受容体作動薬セマグルチドとアルコール使用障害

糖尿病や肥満の治療薬として広く用いられているGLP-1受容体作動薬(Glucagon-Like Peptide-1 Receptor Agonists, GLP-1RAs)が、アルコール摂取を抑制する可能性があることが示唆されてきました。
糖尿病関連

GLP-1受容体作動薬の多様な可能性

GLP-1はインスリン分泌促進、グルカゴン抑制、胃内容排出遅延、食欲抑制といった多面的な作用を持ちます。GLP-1RAは、糖尿病治療の枠を超えて、肥満、NASH、神経変性疾患、内分泌異常など、次世代の代謝医療の中核を担う存在になりつつあります
心拍/不整脈

ペースメーカー、左脚ブロック、WPW症候群などによる異常伝導誘発性心筋症

慢性右室ペーシング(RV pacing ; RVP)、左脚ブロック(LBBB)、早期興奮症候群(pre-excitation syndrome)、これらによる異常伝導誘発性心筋症(ACI-CM)のメカニズム、有病率、診断、治療について解説します。