心拍/不整脈

心拍/不整脈

心拍変動(HRV)は、内因性能力(Intrinsic Capacity)、レジリエンス(回復力)の指標

はじめに 老化という不可逆的なプロセスにおいて、私たちが真に追求すべきは単なる生存期間の延長ではなく、生命の質を形作る「内因性能力(Intrinsic Capacity)」の維持です。世界保健機関(WHO)が提唱したこの概念は、身体的・精神...
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心房細動による記憶力低下とそのメカニズム、対策

はじめに 心房細動は、世界で最も一般的な持続性不整脈であり、その負担は単なる脳卒中のリスク増大にとどまりません。臨床データによれば、心房細動患者の実に22パーセントから51パーセントが、持続的な記憶障害を呈しているという驚くべき事実がありま...
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あなたの心室期外収縮(PVC)は、どこから発生している?

序論 — 従来の「量」から「質」へのパラダイムシフト 臨床循環器学において、心室期外収縮(PVC)と心不全、特に心室収縮機能不全との因果関係は、PVC誘発性心筋症として古くから知られてきました。これまでの議論の多くは、24時間心電図における...
心拍/不整脈

電気自動車の電磁界(electromagnetic field:EMF)と心血管系リスク

EV時代の到来と科学的精査の必要性 電気自動車は、地球規模での気候変動対策と都市の大気汚染軽減という喫緊の課題に対し、内燃機関車に代わる持続可能なソリューションとして急速に普及しています。従来の排ガス(NOx、SO2、微小粒子状物質など)が...
心拍/不整脈

最大心拍数の推定式は正確なのか?その誤差要因は?

序論:最大心拍数という「生理学的上限」 最大心拍数(Maximal Heart Rate, MHR)は、心拍がどこまで上がるかという「心臓の生理的限界」を示す指標であり、運動強度の設定・心肺フィットネス評価・リスク管理の基盤をなすパラメータ...
心拍/不整脈

抗炎症薬によるアブレーション後心房細動再発抑制

序論:アブレーション後の最大の課題 心房細動(AF)は世界で最も多い持続性不整脈であり、脳卒中、心不全、全死亡率を高めることが知られています。カテーテルアブレーションは有効なリズムコントロール手段として確立していますが、その後の再発は依然と...
ポジティブ心理学

心拍変動バイオフィードバック(HRVB)と精神的ストレス時の冠血流予備能

背景と研究の意義 心理的ストレスが冠動脈疾患(CAD)の発症・増悪に深く関わることは広く知られています。特に、精神的ストレス誘発心筋虚血(MSIMI)は、CAD患者の心血管死や非致死的心筋梗塞のリスクを有意に高めると報告されています。従来、...
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アスリートにおける心電図異常

序論 競技アスリートの心臓は、強度の高いトレーニングによって電気的・構造的・機能的な適応を示します。その結果、心電図(ECG)にはしばしば非アスリートには見られない特徴的な変化が出現します。洞性徐脈や房室伝導遅延、T波陰転といった所見は、病...
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私たちが宇宙を旅する未来は、もう目前に迫っている!宇宙飛行と心血管系の生理変化

はじめに 有人宇宙探査は、かつて国家主導の壮大なプロジェクトでしたが、近年は民間企業の参入により新たな局面を迎えています。月面滞在や火星探査といった長期宇宙滞在が現実味を帯びるなかで、最も大きな課題の一つが人体への影響です。特に心血管系は重...
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GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドと起立性頻脈症候群(POTS)の悪化

序論 近年、肥満症に対する薬物治療は急速に普及しており、その中心的役割を果たしているのがGLP-1受容体作動薬や、さらに進化した二重作動薬であるチルゼパチドです。チルゼパチドは、GLP-1(glucagon-like peptide-1)と...