血圧

高齢高血圧患者における強化降圧管理(Intensive Blood Pressure Control)の長期的効果

はじめに 高齢化が急速に進む現代社会において、高血圧管理は心血管疾患予防の要といえます。これまでの研究では、血圧をより厳格に下げることが脳卒中や心筋梗塞のリスクを減らす可能性が示されてきました。しかし、その効果がどの程度長期的に維持されるの...
ポジティブ心理学

溺愛するペットを失う時:ペットロスとその対策 

はじめに 現代社会において、ペットは単なる飼育動物ではなく、家族の一員として認識される存在となっています。2025年10月18日〜19日、東京・駒沢公園で開催された「駒沢わんこ祭り2025」の会場にも愛犬と飼い主たちが大勢集っておりました。...
医療全般

BMIが正常でも、腹が出ている人の心臓リスク

序論 近年、肥満と心代謝疾患の関連は周知の事実となっていますが、その多くはBMI(Body Mass Index)に基づいた研究に依存しています。しかし、BMIは体脂肪の分布を反映できず、体重は正常でも腹部に内臓脂肪が蓄積した人々が、実際に...
脂質代謝

飽和脂肪酸と健康:栄養素から食品ベースの視点へ

はじめに 飽和脂肪酸(saturated fatty acids, SFA)は長らく「心血管疾患の主要な危険因子」とみなされ、米国をはじめとする多くの食事ガイドラインで総摂取エネルギーの10%未満に制限するよう推奨されてきました。しかし、本...
脂質代謝

日本人におけるリポ蛋白(a)と心血管疾患リスク

はじめに 近年、リポ蛋白(a) は従来の脂質指標では説明できない心血管リスクを担う独立した因子として注目されています。欧米ではすでに30 mg/dLや50 mg/dLといったカットオフ値が臨床指針に組み込まれつつありますが、日本ではその基準...
糖尿病関連

神経回路から見た糖代謝制御、糖尿病の新たな治療戦略の可能性

はじめに 糖代謝は、単に膵臓のインスリン分泌や肝臓の糖産生といった臓器レベルの調節にとどまらず、中枢神経系と末梢神経系が緻密に関わるシステム全体の制御機構として理解されつつあります。本論文は、近年の光遺伝学や化学遺伝学などの技術を駆使した研...
中枢神経・脳

受容体は「単なる入り口」ではなく「認知の主体」?:「We Are Our Receptors」

序論 私たちが普段「認知」と呼んでいるものは、脳の皮質が情報を処理する結果として理解されてきました。しかし、2025年にArturo Tozzi氏が発表した論文「We Are Our Receptors: Rethinking Cortex...
心臓血管

恐怖は本当に「血を凍らせる」のか:ホラー映画と凝固因子VIII上昇の科学

序論:言葉と科学の接点 「血が凍るような恐怖」という表現は、英語の bloodcurdling をはじめ、フランス語の à vous glacer le sang、ドイツ語の das blut in den Adern erstarrt な...
中枢神経・脳

気象と片頭痛――「単独原因」ではなく「閾値を超える複合要因」としての理解

背景と目的 片頭痛は若年女性で最大の障害要因の一つであり、患者はしばしば「天気が悪いと頭が痛む」と訴えます。本レビューは、気圧・湿度・風・雷などの気象要素が頭痛、とりわけ片頭痛にどう関わるのかを、近年の研究知見と神経生物学的メカニズムの視点...
睡眠

なぜ私たちは眠くなるのか? ― ミトコンドリアが握る「睡眠のスイッチ」

はじめに 「なぜ眠らなければならないのか?」という問いは、古代から哲学者や科学者が繰り返し考えてきたテーマです。体を休めるため、記憶を整理するため、脳をクリーンアップするため――さまざまな説がありますが、いまだに「眠気が生じる根本的な理由」...